大腸の痛みと病気の原因

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大腸は腸の一部であり排泄物である便を作ることが、主な役割と思われている方も多いと思います。

実際、その通りで大腸で最も大切な機能は排泄をすることです。

一方で、大腸に多く存在している腸内細菌が人の健康に重要な働きを持っています。

近年の研究では腸内細菌が癌、糖尿病、肥満など生活習慣病の原因になっていることが明らかになりつつあります。

大腸は体の中で最も病気が多い場所とも言われており、さまざまな病気の元になります。

例えば女性の癌で死因の1位に挙げられる大腸がんも、大腸から肝臓に転移し、そこから全身に広がっていくことがあります。

 

ところで、大腸の病気にかかったとき、始めにどのような症状で病気に気付くでしょうか。

血便が出るとか、食欲が出ないといったこともあるでしょうが、「痛み」も大きな要素ではないでしょうか。

生物にとって痛みは、重要な警告症状としての役割を果たしています。

 

そこで今回は、大腸の痛みと病気の原因と題して、大腸で起こる痛みや病気にどのようなものがあるか解説していきます。

 
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大腸の痛みと病気について

これより大腸の痛みの原因についてご紹介していきますが、その前に肝心の大腸の位置を図で確認しておきましょう。

大腸はこちらです。

大腸 痛み 病気

上図のように大腸は、お腹の周りをぐるっと取り囲むように位置しています。

ですから、大腸が位置している周辺で痛みが出るようであれば、それは大腸が痛みの原因になっている可能性があります。

 

ただし、痛みには関連痛というものがあります。

大腸が痛みの原因になっていても、大腸がある位置とは離れたところに痛みが出たりします。

お腹の中央が痛くなったり、あるいは背中側に痛みが出ることもあるので注意が必要です。

 

ではさっそく大腸の痛みの原因となる病気をご紹介していきます。

大腸周辺に痛みがあるからといってすぐに以下の病気があるということにはなりませんが、その可能性はありますので気になる方は、一度専門医を受診してみて下さい。
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大腸がん

大腸がんは、がんの部位別の死亡率で女性で第1位、男性で第3位となっています。

大腸がんは50~70歳代の方に発症することが多く、大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍です。

 

大腸がんの分類法は部位別に分けられます。

盲腸がん、結腸がん、直腸がんに分類されます。

大腸痛み 病気

 

大腸の部位名を図で確認しておきましょう。

この中で、がんの発生率が高いのは、結腸と直腸です。

肛門に近いS状結腸や直腸は便が溜められる部位でもあるため、便秘が大腸がんの原因になっていることを指摘する声もあります。

大腸がんと便秘の関連性についてはこちらの記事で解説しています。

参照)大腸癌と便秘 癌と便秘の関係と対処法について

 

大腸がんによる痛みですが、腸管断面の1/4周以下のがんでは症状がなく、1/2周を超えると腸の内容物が通過障害を起こし、痛みにつながります。

左側にある下行結腸、S状結腸、直腸は、右側にある盲腸や上行結腸と比べて腸管が細いため、腸内容物の通過障害が起こりやすく、痛みも出やすいです。

大腸がんが発生している場合、大腸の痛み以外に血便、便秘と下痢を繰り返すなどの排便習慣の変化、お腹の張り、便が細くなる、残便感などの症状が出やすくなります。

 

がん治療は早期発見、早期治療が大切です。

健康診断でも行われる便潜血検査は大腸がんの早期発見に有効です。

その便潜血検査は実は自宅で行える検査キットが販売されています。

時間が無くて病院に行けない、手軽に済ませたい方は使用を検討してみて下さい。

以下にご紹介しておきます。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患とは字のごとく、腸で潰瘍や裂溝(傷のようなもの)ができて、炎症や出血などが起こる病気のことをいいます。

炎症性腸疾患で代表的なものとして、潰瘍性大腸炎やクローン病があります。

 

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、若年成人に多いです(10歳代後半から30歳代前半で、20代がピーク)。ですが、小児や高齢者に発症することもあります。

主に大腸粘膜を侵し、びらんや潰瘍ができる原因不明のびまん性炎症性腸疾患です。

※びまん性とは、病変がはっきりと限定できず、広範囲に広がった状態をいう。

 

潰瘍性大腸炎になると繰り返し、大腸周辺の痛み、発熱、下痢、粘血便といった症状が出ます。

原因としては、ストレスがきっかけになることがあります。

ここでのストレスとは、過労や睡眠不足などの肉体的なものから、引っ越しや結婚などによる精神的なストレスも含みます。

炎症は直腸から始まり、奥の方へ連続性に広がっていきます。

潰瘍性大腸炎は炎症の拡がりによって分類され、直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型があります。

この分類を画像で確認してみましょう。赤色が炎症が起きているところです。

直腸炎型

大腸痛み 潰瘍性大腸炎 直腸

左側大腸炎

大腸痛み 左側大腸炎 潰瘍性大腸炎

全大腸炎型

大腸痛み 潰瘍性大腸炎 全大腸炎

炎症が起きている部位では、大腸の痛みが出ます。

また関節炎や口内炎などの炎症症状や、膵臓、肝臓、肺、目、皮膚など大腸とは離れた場所にも症状が出ることがあります。

 

潰瘍性大腸炎はよくなったり、悪くなったりを繰り返す病気です。

また国から難病と指定されている病気ですので、専門医の元で治療をする必要があります。

潰瘍性大腸炎についてこちらの記事でも詳しくご説明しています。

参照)潰瘍性大腸炎は完治するのか

 

 

クローン病

クローン病も10歳代~20歳代の若年者に多い病気です。

クローン病が潰瘍性大腸炎と違うのは、大腸だけでなく口から肛門までのすべての消化管で炎症が起きるところです。

 

炎症が起こりやすいのは、回盲部です。

回盲部とは小腸の一部である回腸と大腸の始まり部分である盲腸の、境目の辺りのことを指します。

症状としては大腸や小腸の痛みの他、下痢や血便が数日から数週間続きます。

治療をしなくとも症状は治まりますが、不定期に症状が再発します。

 

クローン病は消化管のどこでも炎症を起こすので、口内炎や肛門の病変などの症状をきたすこともあります。

潰瘍性大腸炎と同様に、専門医の元での治療が必要な病気です。

 

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は男性よりも女性に多いとされており、まじめで几帳面、内向的な性格の方に多い傾向があります。

日本での発症率は人口の9~22%と言われています。最大値で考えると約5人に1人は過敏性腸症候群ということになります。

原因ははっきりとしていませんが、自律神経や内臓の知覚神経の異常によるものと考えられています。

 

過敏性腸症候群は症状別に3種類に分けられます。

①下痢型:硬い便またはコロコロした便が25%未満で、やわらかい便、または水っぽい便が25%以上

②便秘型:硬い便またはコロコロした便が25%以上あり、やわらかい便または水っぽい便が25%未満

③混合型:硬い便またはコロコロした便が25%以上あり、やわらかい便または水っぽい便が25%以上

過敏性腸症候群というと下痢のイメージが強いかもしれませんが、便秘型や混合型も存在します。

 

消化器専門の国際的な研究会が作ったRomeⅢに記載されている過敏性腸症候群の定義は

「過敏性腸症候群とは、腹痛と不快感が排便または排便習慣の変化ならびに排便障害を伴うが、それらを説明しうる器質的疾患(たとえば大腸がんなど)や生化学的異常が見出せない腸管の機能的疾患」とされています。

つまり、腹痛、不快感と一緒に便秘や下痢があるのに、大腸がんなど目に見える病気が見つからない状態ということです。

2006年にはRomeⅢにより過敏性腸症候群の診断基準が発表されました。

※RomeⅢとは、国際的な専門家の委員により作成された、消化器障害に関する報告書のこと。

 

RomeⅢの診断基準では過敏性腸症候群と診断するには、発症から6ヶ月以上経過していなければなりませんので注意が必要です。

過去3ヶ月間のうち1か月間に3日以上繰り返す腹痛、あるいは腹部不快感を認め以下の3項目中の2項目以上をともなう

①排便により軽快する

②排便頻度の変化をともなう

③便形状(便外観)の変化をともなう

6ヶ月以上前から症状があり、最近3か月間は上記の基準を満たしていること。

過敏性腸症候群は、排便異常の他に、吐き気、頭痛、疲労感、不安感、抑うつなどの症状をきたすこともあります。

症状を引き起こしやすい食べ物として、乳製品やコーヒーなどがりますので、これらの食べ物の摂取で症状が悪化するようであれば避けた方が良いです。

 

虫垂炎

虫垂炎は閉塞した虫垂内で細菌が増えてしまい炎症を起こす病気です。

この閉塞の原因は腸内容物やリンパ腺の腫れ、腫瘍、噴石などによるものです。

虫垂炎に対し適切な治療を行わないままでいると、病気が進行し虫垂が破れて膿や腸液が流れ出して、腹膜炎などを起こすこともあります。

虫垂の位置を図で確認しておきましょう。

この画像では大腸の一部である盲腸と、そこから尻尾のように伸びる虫垂を載せています。

虫垂は免役器官としての役割を果たしますが、構造的につまることがあり、虫垂炎になります。

 

好発年齢は10~20歳代で、主な症状としては大腸の痛み(特に右下腹部にでるが、発症初期はみぞおちが痛むこともある)、発熱、吐き気、嘔吐などがあります。

 

ちょうど虫垂がある右下腹部の痛みは、虫垂炎の診断に用いられます。

虫垂炎を疑うとき、右下腹部にあるMcBurney(マックバーニー)点を押すと痛みが出ます。

マックバーニー点とは、体表から見たとき虫垂が位置するところです。

具体的な場所は、右上前腸骨棘とへそを結ぶ線の外側1/3のところです。

図で確認してみましょう。

大腸痛み 病気 マックバーニー点

虫垂炎の治療には、抗菌薬を用いていわゆる薬で散らしたり絶食をする保存的治療と、炎症が起こった虫垂を手術で取り除く外科的治療があります。

 

腸閉塞(イレウス)

腸閉塞は別名イレウスと呼ばれ、腸の内容物が停滞し、腸の痛み、嘔吐、おなかの張り、便が出なくなるなどの症状をきたすことをいいます。

腸閉塞が起こる原因は2つあり、腸管の動き自体が悪くなって起こる麻痺性イレウスと、腸管が癒着したり、ねじれて通過障害が起こる閉塞性イレウスがあります。

 

麻痺性イレウス

腸管で炎症が起こったり、血液循環が悪くなることで、腸管のぜん動運動が起こらなくなり、腸の中で食べ物や消化液などが移動しなくなり、症状を引き起こします。

 

閉塞性イレウス

腹部手術を行うと、回復の過程で腸の癒着が起こることがあります。

また腸が本来あるべき位置から飛び出してイレウスを起こすこともあり、腹壁瘢痕ヘルニアや鼠径(そけい)ヘルニアと呼ばれます。

 

腸管内に大腸がんがあったり、便秘になっていたりしても腸内容物が停滞し、イレウスを発症します。

腸管を栄養する腸管膜へも血流障害が及ぶと、生命の危機に関わる腸管壊死を起こす危険性もあります。これを絞扼性イレウスと呼びます。

 

腸間膜動脈閉塞

小腸全体と大腸の横行結腸までの栄養を司る上腸間膜動脈が、動脈硬化にや、心房細動によってできる血栓などによって血流が遮断され、腸管壊死をきたす病気です。

特に高齢者の脱水によって起こりやすいとされる病気で、急に激しい小腸や大腸の痛みが特徴的です。

通常、腸の痛みが出るとお腹を触れると硬くなっていますが、腸間膜動脈閉塞の発症初期の段階ではお腹はまだ柔らかいこともあります。

ただし数時間のうちにお腹が硬くなったり、押した時の痛み、そこから離すときの痛みが出るようになります。

この病気は迅速な治療が必要で、治療が遅れると命に係わります。

 

感染性腸炎

感染性腸炎は、小腸や大腸のあるお腹の痛みや嘔吐、下痢、発熱などを伴います。

その原因は飲食物や、感染した人の咳やくしゃみ、排泄物からの感染です。

 

感染性腸炎はウイルス性のものと、細菌性のものに分けられます。

ウイルス感染はノロウイルスが代表的です。

冬場には新聞やニュースで話題に上がることの多いノロウイルスですが、生牡蠣などの食物を通して感染します。

人に感染した後は、感染した人の嘔吐物や排泄物を通して感染が拡大していきます。

 

ノロウイルスへの感染を予防するためには消毒が重要ですが、アルコール消毒は効きません。

次亜塩素酸ナトリウムという消毒液を用い、消毒する必要があるので注意してください。

 

毎年冬になると、感染者が増加数する病気で名前を着たことがある方も多いと思います。

生牡蠣などからの感染が代表的で、吐物や便を介して感染することもあります。

ノロウイルスは通常のアルコール消毒では死滅しないので、専用の消毒液を用いる必要があります。

 

 

一方、細菌感染はさらに感染型、毒素型、中間型に分けられます。

感染型の特徴は、腸内で細菌が増殖してから発症するので、発症までの時間がかかります。

種類によって発症までの時間は違いますが、おおむね6時間から長ければ2~3日かかります。

原因菌として、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどがあります。

毒素型は、細菌から出る毒素によって発症します。

細菌が体内に侵入してから、2~3時間と比較的短時間でで発症します。

ボツリヌス菌、ブドウ球菌などが代表的です。

中間型は感染型と毒素型の両方の要素を持ったもので、O157が代表的です。

O157は熱で殺菌できますので、食べ物にしっかり火を通すことで予防が可能です。

 

まとめ

大腸の痛みと病気の原因と題してお伝えしてきました。

大腸の痛みの裏にどのような病気が潜んでいるのかお分かりいただけたのではないでしょうか。

特に過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎は腸内フローラを良好に保つことが、病気を遠ざける1つの方法となります。

腸内フローラを良好に保つためには、乳酸菌の摂取が有効です。

乳酸菌を摂取するには発酵食品を食べたり、サプリメントで摂る必要があります。

日頃から気をつけておきましょう。

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