イレウス管とは?構造や適応と目的、固定方法など解説!

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イレウスとは、様々な原因により腸内容物の肛門側への移動が妨げられた状態のことです。

イレウスは腸閉塞(ちょうへいそく)とも呼ばれ、物理的に腸が閉塞する機械的イレウスと、腸への血流や神経が障害されて起こる機能的イレウスがあります。

この治療に用いられるのがイレウス管です。

イレウス管はチューブ状の医療器具で、これを鼻もしくは、肛門から挿入して、腸内に溜まってしまった内容物を排泄させます。

イレウス管があることで、手術をせずともイレウスを治すことが可能となります。(重症例やイレウス管に不適応な症例では、手術など別の方法がとられます)

 

今回は、イレウスの治療に用いられるイレウス管について詳しく解説していきます。

 
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イレウス管の構造と挿入位置とは?

イレウス管は消化管を傷つけないように、柔らかい素材でできています。

細長いチューブ状の形状となっており、グニャグニャと曲がっている消化管の中でも、奥まで挿入できるようになっています。

 

イレウス管をどこまで挿入するかというと、小腸の一部である空腸までです。

図で確認してみましょう。まずは小腸の全体像からです。

イレウス管 小腸

続いて、空腸の位置を図で確認しましょう。

イレウス管 空腸

小腸は十二指腸、空腸、回腸で構成されます。

十二指腸と空腸の間にはトライツ靭帯が存在します。

ですから上図でいうと、トライツ靭帯の肛門側が空腸ということになります。

 

イレウス管は空腸にまで到達させて内容物を排泄するので、トライツ靭帯を目安にして、その先までイレウス管を入れるようになります。

イレウス管の先端にはバルーン(膨らませて固定するもの)が付いています。

バルーンを膨らませることで、位置がずれないように固定します。

イレウス管の挿入位置について図で確認しましょう。

イレウス管 構造目的

ただし腸は蠕動運動を起こすため、バルーンだけでは、イレウス管が勝手に抜けてしまう危険性があります。

体表からも鼻や頬の位置で固定するのですが、詳しくは「イレウス管と固定方法」の項目で解説します。

体表からイレウス管が抜けかかっていないか確認するとともに、腹部レントゲンで体内での状態を観察し、しっかり空腸まで到達しているかを確認します。

 

イレウス管の目的と適応疾患

イレウス管を挿入することで、

腸の中で詰まってしまった内容物を取り除き、

嘔吐などの症状を緩和、

腸管浮腫の軽減、

穿孔(腸に穴が開くこと)の予防効果などが期待できます。

また、イレウス管を通して造影剤を注入すると、閉塞部位を診断するのに役立ちます。

 

冒頭でもお伝えした通り、イレウスには機械的イレウスと機能的イレウスがあります。

機能的イレウスはさらに、単純性(閉塞性)イレウス複雑性(絞扼【こうやく】性)イレウスに分類されます。

機能的イレウスも、麻痺性イレウス痙攣性イレウスに分類されます。

 

つまり、イレウスと言っても詳しく分類すると4つに分けられます。

このうちイレウス管が頻繁に用いられるのは、単純性(閉塞性)イレウスと、麻痺性イレウスに対してです。

 

単純性(閉塞性)イレウスは腹部の手術後の癒着が原因となることが多いです。

麻痺性イレウスは、腸の筋肉や神経が何らかの原因により障害を受け、腸管の運動が麻痺することで発症します。

これらのイレウスに対してイレウス管を用いることで、腸内に溜まった内容物を排出させるのです。

 

この時、通常はイレウス管を鼻から挿入する経鼻的(けいびてき)イレウス管挿入が行われます。

しかし、直腸やS状結腸などの下部大腸に問題がある時は、肛門からイレウス管を挿入する経肛門的(けいこうもんてき)イレウス管挿入が行われます。

直腸やS状結腸の位置を図で確認しておきましょう。

イレウス管 目的 適応疾患 S状結腸 直腸

このように鼻からイレス管を入れるより、肛門からの方が明らかに距離的に近い場合は、経肛門的イレウスが選択されます。

ただし、経肛門的イレウス管挿入では、管に便が詰まりやすいので、洗浄を定期的に行うなどの注意が必要で手間がかかります。

ですから、緊急時に応急処置として行われることが多いようです。

 

イレウス管の固定方法

イレウス管を挿入する時には、排泄される内容物の量や腹部レントゲンを参考にしながら、挿入量を加減します。

目的の部位までの挿入が完了したら、イレウス管の先端に付いているバルーンを膨らませます

それだけでは頻繁に運動している腸内での固定は不十分なため、体表からもイレウス管を固定します。

 

体表でイレウス管を固定する位置は下図のように鼻と頬です。

イレウス管 固定方法

テープで皮膚に固定することで、管が動かないようになります。

鼻と頬の2か所で固定することで、より強固に固定できます。

 

排液量や性状をチェック 観察のポイント

イレウス管の状態をチェックする時には、抜けかかっていないかということともに、排液の量や性状の確認も重要です。

イレウス管を挿入する過程で消化管が傷つくこともありますし、穿孔が起こると出血します。

通常は、排液の色は黄色や黄土色です。

しかし出血が起こった時は、排液の色は赤みがかります。

ですから、赤色の排液が出てきた時は要注意です。

また、血液は胃酸によって酸化すると黒色になりますので、その点も押さえておく必要があります。

 

イレウス管が抜去しかかっている!その時どうするか?

イレウス管は体表から固定したり、腸内部でもバルーンを膨らませているので抜けにくくなっています。

しかしそれでも、挿入が深くなったり浅くなったりすることはあります。

挿入量に変化があった時には、その時の位置から動かないようにまずは固定して、それから医師に報告し、腹部レントゲンで位置を確認するなどの適切な処置を行うようにしましょう。

 

イレウス管は持続吸引?自然吸引?

イレウス管で排液する時には、自然吸引を行うこともあれば、持続吸引器という機械を用いて行うこともあります。

吸引の強度や吸引の時間は、病気の状態に応じて医師が判断します。

 

まとめ

イレウス管について、構造や目的、固定方法など図を用いて解説してきましたが、お分かりいただけましたでしょうか。

イレウスは、その種類によっては手術が必要なケースもあります。

手術せずに経過観察をする時には、イレウス管を使用する可能性が高いです。

手術による体への負担が、イレウス管により軽減されます。

イレウス管は非常に有用な医療器具ですが、鼻から常にチューブを入れておくのも大きな負担となりますので、その点は知っておきましょう。

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