骨盤の痛みの原因は左右で違う!どんな病気で痛むか解説!

骨盤は1つの骨の塊に見えるかもしれませんが、実はいくつかの骨が組み合わさってできています。

骨盤周囲に痛みが起こる原因はさまざまです。

具体的には、骨盤周囲の関節、筋肉、内臓の問題が痛みの原因となります。

骨盤には仙腸関節、恥骨結合という関節があります。

これらの関節の問題で痛みが出ることがあります。

 

また、骨盤は体の中心にあり、動作の起点となる場所です。

ですから、骨盤に付着する筋肉は多く、そのどれかの筋肉に問題が起こっても痛みが生じます。

骨盤の内側には、腸、膀胱、生殖器などの種々の内臓がつまっています。これらのうちいずれかの臓器に問題があっても、やはり痛みが生じます。

痛みがあると何をするのにも気になりますし、様子を見てよいものか、病院に行った方がよいのか不安になるでしょう。

 

痛みの原因を探るとき、右の骨盤が痛むのか、左の骨盤が痛むのか場所を知ることも大切です。

右の骨盤に痛みが出ていれば、骨盤の右側にある関節や筋肉、内臓に問題があるということです。

左の骨盤に痛みが出るときは、同様に骨盤の左側にある関節、筋肉、内臓のどれかに問題があると考えられます。

 

今回は、骨盤周辺の痛みが起こる原因について、解説していきます。

骨盤周りの関節や筋肉は基本的に左右対称です。ですから痛みの原因が関節や筋肉にある場合、右(左)の骨盤が痛ければ、右(左)の関節、筋肉に問題があると考えてください。

一方、内臓は左右非対称です。当然、右と左で痛みの原因が異なります。

内臓に関しては右、左に分けて痛みの原因について解説していきます。

 

骨盤の痛みの原因 どんな病気がある?

まずは、関節や筋肉が原因で起こる骨盤周辺の痛みについて解説していきます。

 

仙腸関節痛

仙腸関節はこちらです。

骨盤の痛み 仙腸関節

 

仙腸関節を支える靭帯などに、過度に負担がかかると関節炎が起こるり、痛みを生じます。

仙腸関節周辺から臀部、太ももの裏側まで痛みが及ぶこともあります。

運動すると痛みがひどくなり、安静にしたり温めると痛みが落ち着く傾向にあります。

仙腸関節が原因の痛みは、仙腸関節を押さえて圧迫を加えると痛みが再現されます。

 

患部が熱を持っている場合は、なるべく安静にしておいて、熱が引いてきたら、ホットパックで温めたり、関節を動かす練習をしていくと良いです。

仙腸関節は股関節の曲げ伸ばしをする時にも動くので、下図のような運動を行うと、仙腸関節の関節運動にもなります。

骨盤の痛み 仙腸関節を動かす

 

恥骨骨炎

恥骨骨炎は20~40歳代の比較的若年者で女性に多いのが特徴です。

恥骨結合は比較的血流が少なく、感染症を起こしやすく、そこから炎症に発展します。

恥骨の位置はこちらです。

骨盤の痛み 恥骨結合 炎症

恥骨炎では恥骨を押した時に痛みが出ます。

その痛みは、恥骨周辺から、太ももの内側にまで及ぶこともあります。

恥骨は転倒によって骨折が起こりやすい部位でもあるので、骨折を疑うようなエピソードがある場合には、レントゲンなどの検査により鑑別診断を行うことが必要です。

恥骨炎は、恥骨周辺が熱を持っている場合には、安静にしておきます。

熱が引いてから徐々に運動を始めますが、激しい運動は厳禁です。

軽い関節運動やストレッチから始めます。

 

大臀筋症候群

大臀筋症候群とは、反復運動を続けたり、外傷を受けたり、持続的な圧迫が大臀筋に加わることで、筋肉が痛んで発症します。

大臀筋はお尻の筋肉で最も表層にあり、お尻の形を作っている筋肉です。

大臀筋症候群で特徴的なのは、トリガーポイントが発生しやすいことです。

トリガーポイントを圧迫すると、その場所や周辺に痛みが放散します。しかし、周辺の痛みが放散している場所の組織にはなんら問題がありません。

ですから、誤診や過剰な検査を行う原因となります。

 

運動をしたことによって筋肉が疲労してトリガーポイントが形成された場合、筋肉は硬くなっています。

これを筋硬結(きんこうけつ)と呼びます。

この筋硬結に持続的圧迫を加えると、筋肉の硬さがとれ、トリガーポイントや放散痛が消失します。

筋硬結は血流不全によって起こりますので、持続的に筋肉を圧迫したのちにストレッチを行うと、筋肉内の血流がより一層改善され、再発予防になります。

 

梨状筋症候群

梨状筋(りじょうきん)は骨盤周囲にある筋肉の一つです。

梨状筋はそのすぐ下に坐骨神経が通っています。

梨状筋が筋肉疲労などで硬くなると坐骨神経は圧迫を受け、骨盤周辺やお尻の痛みや痺れにつながります。

また坐骨神経の支配領域である。太ももの裏側やふくらはぎ、足にまで痛みや痺れが出ることもあります。

この痛みや痺れをとるためには、梨状筋の硬さをとることが必要です。

臀部に硬式テニスボールを入れ、お尻のくぼんでいるところ周辺を圧迫することで、マッサージ効果が生じ梨状筋の硬さは取れやすくなります。

またストレッチで梨状筋を伸ばすことも有効です。

梨状筋のストレッチはこちらです。

骨盤の痛み 梨状筋ストレッチ

ランブルローラーで圧迫を加えるのも有効です。

骨盤の痛み ランブルローラー梨状筋

 

坐骨滑液包炎

大臀筋と坐骨結節の間にあるのが、坐骨滑液包です。

大臀筋と坐骨結節はそれだけだと、動くたびに擦れてすぐに痛みを出してしまうのですが、この坐骨滑液包があることによって摩擦が少なくなり、痛みにくくなっています。

 

ですが長時間ランニングをしたり自転車に乗るなどして摩擦が加わり続けると、この坐骨滑液包自体が炎症を起こして痛みが出ます。

坐骨滑液包炎で痛みが出る位置は、ちょうど坐骨のあたりです。

坐骨はこちらです。

骨盤の痛み 坐骨

 

炎症の初期には患部が熱を持っていることがあります。

熱があるうちは、アイスバッグなどで冷やすべきです。

数日して熱が引いてきたら、今度は温めたり、股関節周りのストレッチや軽い運動を行うようにします。

この時の運動も同じ運動を反復したり、激しい運動は避けて行います。

 

尾骨痛

まずは尾骨の位置を図で確認しておきましょう。

骨盤の痛み 尾骨

 

尾骨痛は尻もちをつくなどして、尾骨に強い衝撃が加わることで起こります。

尾骨は比較的細い骨なので、骨折しやすい骨です。

尾骨骨折などで尾骨痛があると、まともに椅子に座ることができず、片側のお尻に体重をかけて座るようになります。

そんなときには、円座クッションがオススメです。

円座があれば、座っても尾骨に荷重がかからないので痛みにくいです。

運動は痛みが引いてきてから行うようにしましょう。

 

右の骨盤が痛い 骨盤の右側に痛みを出す内臓

冒頭でもお伝えしたように、骨盤周囲の関節や筋肉は左右対称ですが、内臓は右と左で配置が違います。

こちらでは、内臓に問題があった時に生じる関連痛について右と左に分けて紹介していきます。

 

右の骨盤に痛みを出す 虫垂の関連痛

右の骨盤周辺に関連痛を送るのは、虫垂です。

虫垂の位置を図で確認しておきましょう。

赤丸で囲んだところが盲腸と虫垂です。

しっぽのように伸びているところが虫垂です。

消化管 構造 機能 大腸部位名 

そして、関連痛はこの辺りに出ます。

右骨盤の痛み 虫垂関連痛

 

右の骨盤痛が生理の時に出る 卵巣の関連痛

卵巣の関連痛領域はこちらです。

右骨盤の痛み 卵巣関連痛

卵巣の関連痛はこのように体の中央に位置するとされていますが、実際には生理痛を右側に訴えられる人が多い印象があります。

生理の時の痛みが、骨盤の痛みのように感じられることもあります。

 

左の骨盤が痛い 骨盤の左側に痛みを出す内臓

左側にある内臓として代表的なものは、大腸の一部であるS状結腸です。

大腸の部位ごとの名称を確認しておきましょう。

左骨盤の痛み 腸の場所名前

S状結腸は直腸へとつながる部位で、排泄される前の便がたまるところです。

 

左の骨盤の痛み 便秘

S状結腸は便がたまるところなので、便秘で過剰に便がたまると、S状結腸自体やその周りの組織が便によって圧迫を受け痛みを出します。

これが左の骨盤の痛みとして感じられることもあります。

便秘の時にはS状結腸のある左の腰骨の内側を軽くマッサージしてあげると、刺激が腸に加わり、便が出やすくなることがあります。

 

左の骨盤の痛み 産後

妊娠中はお腹が大きくなるにつれ、運動量が少なくなって筋力が低下していたり、出産時の傷をかばうなどして、便秘になりやすいことが多いです。

便秘になると上記した通り、S状結腸に便が溜まり、左骨盤の痛みにつながります。

ですから、産後は意識的に水分を小まめにとるようにしたり、食物繊維や発酵食品などから乳酸菌をとるようにして腸内環境を整える必要があります。

 

骨盤の痛みの原因 その他の内臓

その他に骨盤周辺に関連痛を送る内臓は、膀胱、尿管、腎臓などがあります。

それぞれ関連痛領域を図でチェックしてみてください。

膀胱の関連痛領域

内臓痛み位置 膀胱関連痛

 

尿管の関連痛領域

内臓痛み位置 尿管関連痛

 

腎臓の関連痛領域(点線と点線の間のところ)

内臓痛み位置 腎臓関連痛

 

まとめ

骨盤の痛みについて、関節、筋肉、内臓それぞれの原因をお伝えしてきました。

ここに示したものは、骨盤に痛みを出す病気や怪我の一部にすぎません。

実際にどれが問題になって痛みが出ているかということは、病院で検査をしてもらわないとわかりません。

気になる痛みが続く場合は、自己判断することなく専門医を受診するようにしてください。