COPD(慢性閉塞性肺疾患) 看護師のためのリハビリ体操

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COPDとは慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)のことです。慢性気管支炎や肺気腫などもCOPDに該当します。

主な症状としては「息切れ」で最終的には呼吸不全に至ります。

このCOPDの主な原因は「喫煙」です。

最近は喫煙率が低下していますが、一昔前は男性であれば多くの方が喫煙していました。

また本人は喫煙していなくても家族が喫煙していたために、副流煙を吸ってCOPDになるケースもあります。

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)になると気道が狭くなり、痰が大量に出ることで気道が埋まってしまい、特に息を吐くことが難しくなります。

そのため、肺は膨張し「ビア樽状胸郭」という胸のあたりが大きく張った格好となります。

 

COPDで最も困ることは、動作時の息切れと呼吸困難感です。

動くと息切れがおきるため、活動量が減少してしまい、それによって全身の状態も悪くなり、より呼吸困難になるという悪循環をたどります。

 

しかしCOPD患者に対するリハビリで、体操や運動などのトレーニングを行うと呼吸困難感の軽減や、活動能力が高まることが分かっています。

運動療法にはそれなりに「量」が必要ですが、リハビリの時間は限られています。

そこで、大切なのが看護師のちからです。

 

そこで今回はCOPD患者に対して看護師でもできるリハビリ体操をお伝えしていきます。

 
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COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者にリハビリ治療を行う目的とは

COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者にリハビリを行う目的は筋肉をつけて、呼吸困難感を軽減させることです。

特に大事なのが下肢の筋力です。

下肢の筋力がしっかりしていれば立ったり、歩いたりすることができ、自然と活動量が増えます。

 

COPD患者においては活動量が多い方が、より長生きすることができるという研究結果もあります。

 

また日常生活場面を考えると上肢の筋力も重要です。

日常で行う歯磨きや洗顔、家事動作などは全て上肢を使わないといけないものばかりです。

 

実は呼吸するときには首や肩甲骨周りの筋肉も補助的に使っているのですが、上肢を使っているとこれらの筋肉は呼吸補助に働きません。

 

COPD患者は呼吸が難しいので首や肩甲骨周りの筋肉も使っているのですが、上肢を他のことに使っていると呼吸を助けることができず、苦しくなりやすいのです。

ですので、腕を使っていても呼吸が苦しくならないように日ごろから上肢の筋肉も鍛えておく必要があります。

 

 

しかし、呼吸が辛い人にリハビリで運動を行っても大丈夫?と不安に思われるかもしれません。

COPD患者に対するリハビリでは、筋力トレーニングと全身持久力トレーニングを併用して行うことが一般的ですが、運動を行わずに過剰に安静をとっていることの方が問題となります。

リハビリでの運動療法の中止基準もありますので、参考にのせておきます。

COPDリハビリ中止基準

 

リハビリの場面で特に参考とされるのが上記の表にあるSpO2です。

これはパルスオキシメーターを利用して血中の酸素飽和度を測定するものです。

簡単に言うと血液中の酸素濃度を測るものです。

これが90%を下回るようだと運動は休んだ方が良いという基準になります。

 

このSpO2の数値が最も簡便に測定することができ、客観性も高いため実際に理学療法士などが関わるリハビリでも重宝されるので、1台あると安心です。

しかしデメリットととして値段が少々お高いです(^_^;)

Spo2を測定する機械で「パルスオキシメーター」といいます。
測定時に痛みはなく、指につけるとすぐに数値がでます。写真のように指につけて簡単に計測できます。

 
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COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者に対するリハビリ治療の実際

ここまでお伝えしてきたとおりCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者に対するリハビリでの運動は、筋力を改善することと、動作時の呼吸困難感を改善することが目的です。

まずは筋力や呼吸困難感が改善したかどうかチェックが必要です。

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)に対するリハビリ治療 その前にまずは評価!

よくなったかどうかは、最初の状態をきちんと把握しておかないと分かりません。

良くなったかどうかを確認することを「評価」と呼びます。

 

まずは筋力の評価です。

簡単に筋力を測る方法は「握力」を測定することです。

全身の筋力と握力には相関関係があります。

つまり、全身の筋力が強い人ほど握力も強くなるのです。

ですから、握力を測定しておくことで、おおよその全身の筋力の変化を追うことができます。
握力計はそんなに高いものではないので、一家にひとつあってもいいかもしれません。

持久力の検査としては「6分間歩行」が簡単に行えます。

これは6分間でどれだけの距離を歩けるか測定するものです。

 

この検査をする前後で「修正Borgスケール」を用いて呼吸困難感も評価できます。

これは下図の様に0~10の数字が示してあり、0が呼吸困難感を感じない、10が非常に強いとして、どれくらいの呼吸困難感があるかを測定するのに使えます。

COPD 慢性閉塞性肺疾患 リハビリ 治療体操

引用文献より)

6分間歩行で修正Borgスケールの数値の変化を記録しておけば、リハビリ後にどのような変化が出たか分かります。

このような検査をまずはしておいて、実際のリハビリに移ります。

 

看護師にもできるCOPD患者に対するリハビリ体操 実際のトレーニング方法

リハビリでの運動は筋力をつけるためか、持久力をつけるためか目的によって負荷量が変わってきます。

 

例えば、筋力をつけることが目的であれば、重たいおもりで強い負荷(なんとか1回持ち上げることができる重さの60~80%の重りを使う)をかけ、10~15回を1セットとします。

 

持久力をつけるのであれば軽めの負荷(何とか1回持ち上げることができる重さの40~60%の重りを使う)をかけ、25~35回を1セットとします。

 

そして運動に慣れてきたら負荷量、セット数ともに少しづつ増やしていきます。

 

リハビリを行っている間、呼吸困難感が強くならないように、運動の強度や頻度、持続時間を調整することも必要です。

 

運動の種類は日常の中で特に呼吸困難感がでやすい動作に似た動きを繰り返し練習することで、トレーニング効果が得られやすくなります。

 

それでは以下に呼吸困難感の程度別に運動の方法をご紹介していきます。

 

呼吸困難感が比較的軽い場合のリハビリ

まずは比較的呼吸困難感が少ない方のリハビリです。

立った状態で重りはつけずに、自分の体重のみを負荷とした運動を行います。

①スクワット

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ポイントは膝を前に出さず、椅子に座るようにしゃがむ、立ち上がる動作を繰り返すことです。

 

②かかと上げ、つま先上げ

慢性閉塞性肺疾患 COPD リハビリ治療 体操

 

慢性閉塞性肺疾患 COPD リハビリ治療 運動

つま先上げとかかと上げを交互に繰り返す運動です。

つま先を上げるときにはお尻がひけないように注意します。

 

③もも上げ

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脚を大きく上げながら足踏みをする運動です。左右両側行います。

 

④脚の横上げ

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体を倒さず足だけ外に開きます。左右ともおこないます。

 

⑤バンザイ動作

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ペットボトルに入れる水の量を調節して負荷量をコントロールします。

 

⑥腕の横上げ

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重りに水を入れたペットボトルを使うことで負荷量を調節できます。水の量を調節しながら、呼吸困難感を感じない範囲で運動を行います。

 

立って運動をすると呼吸困難感が強い場合のリハビリ

立った状態での運動がしんどい場合は、座った状態で運動を行います。

 

①膝伸ばし

左右交互に膝を伸ばします。

COPD 慢性閉塞性肺疾患 リハビリ治療 運動

膝が真っすぐになるまで伸ばしましょう。

 

②もも上げ

左右交互にもも上げをします。

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ももを大きく上げるよりも、姿勢が崩れないよう背筋を伸ばすことに意識を向けて下さい。

 

③かかと上げ、つま先上げ

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④バンザイ動作

立位で行ったのと同じ動作を座位で行います。

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⑤腕の横上げ

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座っているだけでも呼吸困難感がある場合のリハビリ

座っているだけでも呼吸困難感がある場合は、寝た状態で運動を行います。

 

①仰向けでの足上げ

リハビリ 体操 慢性閉塞性肺疾患 COPD

 

②横向きでの足上げ

リハビリ 体操 慢性閉塞性肺疾患 COPD 治療

 

③腕の運動

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バンザイするように腕を持ち上げます。

 

リハビリ 体操 慢性閉塞性肺疾患 COPD 家でできること

 

胸を開くように腕を広げます。

 

COPD患者に対するリハビリ治療 注意点

運動の負荷量を増やしたいときには重錘(じゅうすい)などを用いると良いです。

息切れや呼吸困難感が強い場合は、腕と脚のトレーニングを交互に行い疲労がたまらないようにする工夫も良いです。前述したように腕の運動なら、ペットボトルに水を入れて代用することも可能です。

 

COPDのリハビリで最もちゅういが 必要なのは呼吸困難感をコントロールしながら運動を行うことです。

特に腕のリハビリでは呼吸困難感が強くなりやすいので、より注意が必要です。

 

運動の強度は、頻度、強度、持続時間、種類の4つで調整が可能です。

4つのうちのどれか、あるいは全てを調整して呼吸困難感が出にくい内容で運動を行うようにしてください。

 

あとは前述した運動療法の中止基準を守ることも大切です。

もう一度確認しておきましょう。

 

COPDリハビリ中止基準

この表の中にある年齢別心拍数とは【220ー(年齢)】です。

つまり40歳の方であれば220-40=180で、最大心拍数は180/分となります。

 

まとめ

看護師向けに慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリハビリ体操についてお伝えしてきました。

COPD患者に対するリハビリでの運動は生活動作が楽になり、生活の質が向上するとの研究結果が数多く報告されています。

それだけでなく呼吸困難感の軽減効果も認められています。

呼吸困難感つまり、「息苦しさ」があると何をするのも億劫になりがちです。

 

むやみにベッドに寝ているのはかえって害になりますので、リスク管理はしっかり行ったうえで適切な運動を行うことが必要です。

今回の記事を参考にして運動を指導してみて下さい。

参考・引用文献

新編 内部障害のリハビリテーション 編:上月 正博

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