排便日誌とは、排便をした時間、便の性質、便の量などを日ごとに記録するものです。
なぜ、このようなものを作るかというと、排便の状況を自分で管理したり、あるいは病院にかかっている人は、医師や看護師が排便状態を知るためです。
これらの日誌をつけるべき人は、やはり排便に何らかの問題を抱えている人です。
日誌をつけることで、排便状況の傾向を見極めることができます。
例えば、食事でこのようなものを食べた、あるいは食べなかった時には便秘になりやすいといったことや、この時間帯には下痢になりやすいなど、その人それぞれの傾向を知るのに役立ちます。
自分のことはよくわかっているようでも、いざ排便日誌をつけてみると、自分では気づくことのなかった傾向というのが見えてくるので、面白いものです。
その傾向が分かれば、それを糸口にして、排便状況を整えるための治療方針も立てやすくなります。
また、入院中であれば、医師や看護師は排便状況の変化をすぐに見つけることができ、大事にいたる前に対処することができます。
このように排便日誌をつけ、排便状況を理解することは、排便を正常化に導くとともに、より重大な病気のサインを見逃さないためにも重要です。
そこで今回は、排便日誌とはどのようなもので、どのような使い方をすると良いかについて解説していきます。
具体的な日誌の例も取り上げていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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もくじ
排便日誌とは 書き方の具体例でどのような効果があるか解説!
まずは、排便日誌とはどのようなものか、具体的な例で確認してみましょう。
こちらが排便日誌の例です。
この排便日誌は、排便があった時に毎回つけます。
あとから書こうと思っていたら、忘れて抜けが出たりするので、排便があったらなるべくすぐにつけるのがポイントです。
抜けがあるようでは、きちんとした対策がねられないので、注意してください。
では、具体的な書き方です。
まず、月日や時間のところには、その日の日付や排便のあった時間を書きます。
次に便の硬さを書きます。
硬さについては、下図の表を使って、番号を書いておくとわかりやすいでしょう。
ちなみに、この表のことをブリストルスケールと呼びます。
ブリストルスケールだと、便の硬さが絵でも示されているので、子どもや認知機能の低下した高齢者にも使いやすいです。
ブリストルスケールについて、詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
参照)ブリストルスケールについて解説!ダウンロードもできます。
次は、便の量です。
便の量と言っても、何グラムです。というようにきっちりと計るわけではありません。当たり前ですね。
例としては、バナナ1本分とか、鶏の卵くらいとか、うずらの卵くらい、あるいは、◯㎝✖️◯㎝といった形で、誰が見てもある程度、量が想像できるように書きます。
腹部症状については、すっきり出ていれば問題ないです。
しかし、痛みがあるとか、あるいは痛みまではなくても不快感がある、排便後なのにまだ残ってる感じがするなど、なるべく対象者の発する言葉のままに記録しておくと良いです。
自分自身でつける人は、感じたままに記録しておきましょう。
そして重要なのが朝、昼、晩の食事内容を記載することです。
どんな料理を食べたかだけでなく、どんな食材を食べたかということも大切です。
例えば、カレーと書くだけではなく、ジャガイモ・人参・玉ねぎ・牛肉などと書くことも大切です。
間食を摂った時には、その分も書いておきましょう。
また、大まかにでも良いので、飲んだ水の量も書いておくと良いです。
水分の摂取量は、便の異常に直結してきやすいので、水分の摂取量がわかると対策も練りやすいです。
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排便日誌からわかること
せっかくつけた排便日誌も、使えなければ意味がありません。
続いては、排便日誌から得られる情報を、どのように理解していくかについて解説していきます。
1.排便のパターンがわかる
理想的な排便は、決まった時間に排便があることです。
便、あるいは便通に異常がある人は、排便周期も乱れていることが多いので、確認しておくと良いです。
排便の時間が乱れている人は、決まった時間にトイレに入る習慣をつけていきましょう。
これは、たとえ便が出なかったとしても、毎日決まった時間にトイレに座ることが大切です。
2.食事と排便の関係性がわかる
通常、食事をしてから24〜72時間後に便として排泄されます。
時間を計算することで、何を食べたら調子が良かったか、あるいは、悪かったかということを考えることができます。
数日前の食事を思い出せと言われても、ほとんど無理でしょうから、記録についておくことが大切です。
3.便の量、性状がわかる
これは、そのままですね。
便の量や性状の変化を把握することで、状態が良くなってきているのか、悪化しているのか、あるいは変化がないのかといったことがわかります。
注意が必要なのは、便の色の変化があった時です。
赤色の便やタール便、黒色便などは消化器内での出血を疑う兆候です。
また 異常な匂いがする場合も、何らかの病気が原因となっていることがありますので、注意が必要です。
こういったことは、その他の欄を作っておいて記載をしておいても良いでしょう。
緊急性がある場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。
4.治療、ケアの効果がわかる
便や便通に異常があった場合、何らかの対策や治療が行われると思います。
その時に、排便日誌を継続してつけていると、どのように変化が出てきたかということがわかります。
例えば薬で治療を行っている時には、この変化を参考にして、薬の量をコントロールすることもできます。
効果判定が行われなければ、何が良かったのか、悪かったのかがわからないまま、うやむやになっていかねません。
5.モチベーションの向上につながる
排便日誌を自分でつけている場合は、治療に対するモチベーションの向上につながります。
レコーディングダイエットとというダイエット方法がありますが、これは日々の体重の変化を記録していくだけで、自己管理ができるようになり痩せていくというダイエット方法です。
排便日誌をつけることでも、これと同じ効果が期待できます。
記録をつけることで、自分自身の体への関心が高まりますし、治療の効果があったのか、なかったのかといったことも把握することができ、やる気を保つことができます。
排便日誌は、まずは1週間つけてみましょう。1週間みれば大まかな傾向がわかります。
ただし、しっかり評価して、治療、そして再評価するためには、1か月程度は見ていく必要があります。
根気強く日誌をつけていきましょう。
まとめ
排便日誌の使い方や効果について、解説してきました。
なぜ排便日誌をつけるのかということが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
日常の臨床の中では、面倒くさく思われがちですが、便通異常を改善するために、排便日誌は非常に重要です。
ぜひ日誌を作って、実践してみてください。