腸の調子が悪いと全身の不調につながります。
これが本当の「不腸」ですね。
冗談はさておき、腸は栄養を吸収できる唯一の器官です。
腸の調子が悪くなると、十分な栄養を吸収することができず、体全体の機能が落ちてしまうのです。
反対に腸の働きを活性化し、腸を健康な状態に保てば、しっかり栄養を吸収することができます。
各細胞に栄養が十分に行きわたると、細胞の新陳代謝も活発になり肌もキレイになるので、健康に良いだけでなく、美容にも効果的です。
- なぜだか、お腹に不快感がある
- 便秘や下痢が続く
- お腹が張る
などの症状がある方は、腸の調子が悪いのかもしれません。
今回は、腸の調子を悪くしてしまう原因について解説し、腸の調子を取り戻すための生活習慣についてお伝えします。
また、腸の不調には重大な病気が隠れていることもあります。
生活習慣を見直しても腸の調子が改善しない方のために、病院を受診する時の注意点についても解説していきます。
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もくじ
腸の調子が悪くなる原因とは?
お腹がゴロゴロする、お腹が気持ち悪い、あるいは明らかに痛いといったときに腸の調子が悪いと感じるのではないでしょうか。
そもそも腸の調子が悪くなる原因は、大きく分けて3つあります。
一つ目は生活習慣です。
腸の状態が悪い人は、便通にも異常が出ていることがあります。
便秘や下痢をきちんと治療しないままにしておくと、それだけで腸には悪影響を及ぼします。
冷たいものを飲むことが多かったり、ストレスがかかりやすい生活が続いていると、腸への負担は高まります。
こういったことでも、腸の調子は悪くなってしまうのです。
2つ目の理由は食習慣です。
腸には食べたものから栄養を吸収する機能と、不要になったものを排泄する機能の2つがあります。
- 食事の栄養バランスがとれていない
- 腸内細菌の餌となる食物繊維の摂取が不十分
- 腸内細菌のバランスを整える乳酸菌を食事から摂っていない
このような食習慣になっていると、腸内環境が悪化します。
必要な栄養素を食事からきちんと摂取することが、吸収と排泄の機能をうまく働かせるために重要です。
3つ目の理由は自律神経の乱れです。
腸は交感神経と副交感神経によって、その働きがコントロールされています。
交感神経と副交感神経は、それぞれがバランスを取りあって働いています。
一度このバランスが崩れると、自律神経の働きが滞り、腸の活動も悪くなります。
自律神経のバランスを整えるには、十分な睡眠をとって神経を休めることがまず第一に必要です。
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腸の調子が悪いとき どんな症状が出る?
では、腸の調子が悪いときに出やすい症状を列挙していきます。
・便秘、下痢
上記した通り、便の状態は腸内環境を推測する指標になります。
便秘や下痢が続いている方は、腸内環境が悪いと考えた方がいいです。
・肩こり、腰痛
腸のある腹腔には、血液がたまりやすいです。
腸に限りませんが、体は機能が低下すると硬くなります。
これは、筋肉などで考えるとわかりやすいです。
例えば、筋肉の質が良いと柔軟性があり、運動をしても損傷しにくいです。
しかし、疲労などがたまると硬くなり、ちょっとした運動でも無理な力がかかり、傷んでしまうことがあります。
腸も同じで機能が低下すると、硬くなるのです。
腸が硬くなると、腹腔内で血液がうまく循環できなくなり、全身の筋肉にも栄養が十分に行き届かなくなります。
すると、肩こりや腰痛を発症しやすくなるのです。
・体臭が臭くなる
腸内環境が悪化し、悪玉菌が多くなると、おならやウンチの臭いがきつくなります。
腸は吸収を司る器官ですから、腸内に悪臭成分が充満していると、その成分が血液に溶け込み、体内に吸収されてしまいます。
吸収された悪臭成分は、唾液や汗に混ざって排泄されようになります。
もちろん、悪臭成分は血液によってある程度、うすめられているので、ダイレクトに悪臭がするわけではありません。
しかし、その成分は確実に唾液や汗に混ざっていますので、口臭や体臭として臭ってきても不思議ではありません。
・食欲不振
消化管はいわば一本の管です。
便秘で管の出口が詰まっている状態では、入り口から食事を入れることはできません。
お腹が張った状態では、食欲もわかなくなってしまいます。
・血流の悪化、冷え
肩こり、腰痛のところでお伝えした通り、腸内環境が悪化すると全身の血流も悪くなります。
体温は血液によって手足に運ばれているので、血流が滞ると、手足は冷えてしまいやすいです。
・免疫力の低下、風邪
腸には腸管免疫という、独自の免疫機能が備わっています。
栄養が吸収されるのは、腸からなので体の入り口で有害な細菌やウイルスをやっつけるために、腸には免疫機能が備わっているのです。
腸の調子が悪くなると、この免疫力も低下し、風邪やさまざまな病気を発症しやすくなります。
腸の調子がいい?悪い?判断するにはおならとウンチを観察
腸の調子の良し悪しを判断するためには、便の状態を観察したり、便やおならの臭いをかぐことで分かります。
健康なうんちは黄色から黄土色です。
この色は肝臓から分泌される胆汁によって色付けされたものです。
腸内環境が悪化すると、この便の色が変化するので、便の色によって腸の調子が分かります。
例えば、便が赤くなっている場合は、腸内で出血が起こっている可能性があります。
その原因としては、大腸ガンや潰瘍性大腸炎、痔などが考えられます。
赤いうんちの原因について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
参照)赤いうんちの原因とは?
便が黒くなっている場合も、出血の可能性がありますが、出血している場所は、胃や十二指腸などの上部消化管であると予想されます。
血液は胃酸に触れると、酸化されて黒くなるため、黒色の便が出るようになります。
この他にも便秘が続いたり、鉄分のサプリメントを摂ることでも、便は黒くなることがあります。
黒い便の原因については、こちらの記事をご参照ください。
参照)黒い便の原因とは?
便が白くなっているときには、胆汁の分泌不足を疑います。
原因は、胆石や胆のう、肝臓の炎症、あるいはガンができている可能性もあります。
乳幼児が白いうんちをした時には、ロタウイルスにかかっている可能性があるので注意が必要です。
白いうんちの原因については、こちらをご覧ください。
参照)白いうんちの原因とは?
便が緑色になる原因は、さまざまです。
- 便が腸内を通過する時間時が異常に早い
- 腸の機能が低下している
- 腸内細菌が減少している
- 便が酸性になっている(赤ちゃんに多い)
- 黄疸、溶血性貧血
などが原因として考えられます。
緑色のうんちについて、詳しくはこちらをご覧ください。
参照)緑色のうんちの原因とは?
便の色に加えて、量や回数も重要な指標になります。
正常な便の量は1回あたり、150~200g程度です。
ただし、便の量は食習慣などの個人差も大きいです。
排便後にすっきりとした感覚があれば、この量から逸脱していてもそれほど問題ととらえなくても大丈夫です。
排便の回数は、少ない人は3日に1回、多い人は1日に3回までが正常の範囲内とされていますので、この中に当てはまっていれば良いです。
排便の回数に関しても、お腹が張るなどの不快な症状がないことが大切です。
反対に毎日出るけど、お腹の苦しさがあるというような人は、腸内環境が悪くなっているかもしれません。
おならの臭いでも、腸内環境を判定できます。
人間の平熱は36.5℃程度ですが、この体温によって腸内で発酵もしくは腐敗が起きます。
このとき善玉菌が優位な腸内環境だと発酵が起き、悪玉菌が優位になっていると腐敗が起きます。
発酵状態の腸内では、窒素、二酸化炭素、水素、メタンガスなどが多く発生しています。
不活性ガス【ふかっせいがす】と呼ばれるこれらのガスは、あまり匂いがありません。
一方、腐敗状態の腸内では、スカトール、インドール、硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタンなどが発生しています。
これらのガスは悪臭がします。
硫化水素は卵が腐ったような臭いと例えられ、メチルメルカプタンは玉ねぎが腐ったような臭いと例えられます。
このように、おならやうんちが臭う場合は、悪玉菌が多く、腸内環境が悪いと判断されます。
こんな症状があるときには、病院へ!何科にかかるか解説
腸の病気はその影に重大な病気が潜んでいることもあります。
食生活などの生活習慣の改善をすることも当然大切ですが、まずは病院で診察を受けた方が良い場合もあります。
特に、
- 血便
- 嘔吐
- 激しい痛み
- 発熱
などの症状を伴う場合は、生活習慣をどうこう言う前に病院へ行かなければなりません。
これらの症状は、緊急に処置をする必要があります。
そこまで強い症状が出ていないけれど、腸の調子が悪い…
というときには、何科にかかったらいいんだろうと、悩む人もいらっしゃるかもしれません。
そんなときには、腸の診察を専門的に行ってくれる、以下の診療科を受診してください。
・胃腸科
胃腸科は名前の通り、胃腸を中心に診療を行う科です。
ですから腸の不調を感じた時には、まずは胃腸科にかかるのが良いでしょう。
便秘、下痢などの悩みがあるときにも、まずは胃腸科にかかてみるのが良いでしょう。
・内科、消化器内科
内科とは手術をすることなく、投薬などの治療を行う科のことです。
腸の治療で重要な、生活習慣の改善法についても、内科医は専門家です。
ですから、日常生活の注意点までアドバイスがもらえるでしょう。
ちなみに、消化器内科は食道から腸までの、消化に関わる臓器を全て専門的に診療してくれる科です。
小腸、大腸も当然、消化器の一部なので、消化器内科も腸の不調を診てもらうのに適しています。
・外科
腸の病気でも手術が必要な場合は、外科の医師が行うことになります。
もし手術が必要な場合は、医師どうしでの紹介がなされます。
腸の不調で最初に外科に行くことは少ないかもしれませんが、その後紹介される場合はあるので覚えておきましょう。
・肛門科
名前の通り、肛門周囲の病気を専門的に扱う科です。
腸の問題に加えて、痔など肛門周辺に特有の病気がある場合は、こちらの科を受診すると良いでしょう。
腸の調子が悪い 便秘の場合
便秘には、はっきりとした定義はありませんが、
- 3日以上排便がない
- 排便間隔が一定でない
- 排便困難感がある
- 残便感
などの症状で、診断されることが一般的です。
便秘になるとお腹の不快感が出るだけではなく、全身の健康に悪影響を与えることは前述した通りです。
便は、体にとって老廃物であり、なるべくスムーズに排泄されるべきです。
腸は排泄をする機関であると同時に、吸収をおこなう器官でもあります。
便が長期間、腸内にとどまると、排泄されるべき便が再び吸収されてしまいます。
これは体にとって、毒になります。
また、便秘が続くとお腹が常に張っているため苦しく、食欲もわかなくなります。
食事が十分に摂れていないと、体に栄養が入ってきません。
当然、元気も出なくなってしまいます。
便秘の状態をそのままにしておくと、さらに便秘が悪化しやすくなります。
通常は、直腸に便が到達すると、便意を感じ排便するようになります。
しかし、便秘が続くと、常に直腸内に便が溜まった状態になるので、刺激に反応できなくなり、便意も感じにくくなります。
このような便秘を直腸性便秘と言います。
下図で赤丸で囲っているところが、直腸です。
このような状態を脱するには、病院などで下剤をもらって、たまっている便を排泄することが、まずは大切です。
その後、
- 野菜や果物に多く含まれる「食物繊維」
- ヨーグルトや納豆、味噌などに含まれる「乳酸菌」
をしっかり摂取し、腸内環境を整えることが必要になります。
便秘解消には、食習慣の改善が欠かせません。
腸の調子が悪い 下痢の場合
下痢症状が出たとき、一番に気をつけないといけないのは、食中毒などの症状によるものではないかということです。
思い当たる節がある場合は、すぐに病院を受診しましょう。
一方で慢性的な下痢に悩んでいる人も多いです。
下痢症状で一番困るのは、排便の時間をコントロールできないことです。
下痢便も短時間であれば我慢ができますが、長時間我慢し続けることはできません。
いつでもトイレに行ける環境であれば、まだ良いです。
しかし、移動中などすぐにトイレに行けない環境では、それ自体が大きなストレスになります。
そして、ストレスは腸にも悪影響を及ぼします。
腸脳相関と言って、腸と脳は密接に影響しあっています。
つまり、脳がストレスを感じると、それが腸の不調にもつながり、下痢がさらに悪化するという悪循環に陥るのです。
近年は過敏性腸症候群など、ストレスが誘因になって腸の不調や排便に悪影響を及ぼす病気が多くなってきています。
体があってこそ毎日の仕事や、家庭生活を営むことができます。
日常生活を送る中でストレスをなくすということは難しいですが、体のことを一番に考えて生活を送ることが大切です。
腸の調子が悪いときには、こんな食べ物が良い
腸の調子を整えるために、何を食べるのかということも大切ですが、どう食べるのかということも重要です。
気をつけるべきこととしては、
・冷たい飲み物、食べ物を一気に飲まない
・早食いをやめて、しっかり噛んで食べる
・食事は夜眠る3時間前までに済ませる
・食事は腹八分めまでにしておく
といったことが大切です。
まずは、上記について気をつけた上で、
・発酵食品をしっかりとる(腸内細菌のバランスを整える)
・食物繊維の豊富な食事にする(便秘の人は海藻類や果物など水溶性の食物繊維を中心に)
・水分はこまめに摂取する(便秘の人は特に。下痢の人も水分が失われがちなので重要)
・ファストフードやコンビニ弁当など添加物の多い食事はなるべく避ける
・揚げ物はその日のうちに食べる(油が酸化するので)
といったことに気をつけると良いです。
腸の調子が悪いとき こんな薬を使おう
慢性的に便秘がある人は、便秘薬を使うことが習慣化している人も多いのではないでしょうか。
溜まったものを出すためにはある程度、必要なこともありますが、用量を超えて服用することはやってはいけません。
市販されている便秘薬は、ほとんどが刺激性下剤といって習慣性のある便秘薬です。
ですから、便秘薬を使い続けると、便秘薬がないと排便できない体になってしまうことがあるのです。
ひとまず排便したら、その後は食生活の改善をすることで、腸内環境を整えていくことが大切です。
便秘薬を使うと確かに便は出るかもしれませんが、腸内環境は整いません。
薬を使うのは、一時的にして基本的には毎日の食生活を改善し発酵食品をしっかり摂って、腸内環境を整えていきましょう。
海外で腸の調子が悪いとき、英語でなんと言う?
海外に旅行に行った時に困るのが、体調が悪くなった時です。
中でも多いのがお腹の不調ではないでしょうか。
いつもと違う食事や生活環境が、知らず知らずのうちにストレスとなり腸の不調につながるのです。
そんな時、海外だとうまく症状が伝えられないと困ります。
ですから海外で「腸の調子が悪い」ということを伝えられるように、以下のフレーズは覚えて旅に出ましょう。
The bad condition of the intestine(ザ バッド コンディション オブ ズィ インテスティン)
ぜひ覚えておいて、海外に行って万一のときにはお役立てください。
まとめ
腸の調子が悪くなる原因や、悪くなった時に出てくる症状についてお伝えしてきました。
栄養を吸収する腸が健康な状態でなければ、全身の健康はありえません。
そういった意味で、腸は命の源ともいえる存在です。
体の機能は冷えると低下してしまいます。
ですから、お腹周りを冷やすことは、すぐに腸の機能低下につながります。
小さい頃、おばあちゃんに言われたように、お腹を冷やさないことはとても大事なのです。
腸を気にかけて生活することが、健康な体への近道です。