タール便の原因は上部消化管からの出血。どんな病気でなるか解説!

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タール便とは、石炭を加工するとできるタールに似た便のことを言います。

タールは黒くてネバネバした液体なのですが、タール便と呼ばれものは主に真っ黒い便のことを指します。

このタール便が出るとき、体の中ではどのようなことが起こっているのかというと、上部消化管からの出血です。

上部消化管とは、食道、胃、十二指腸のことを言います。

これらの臓器から大量の出血がある場合、タール便が発生することがあります。

注意しておきたいのはタール便が認められる場合、すでに相当量の出血があるであろうと考えられるということです。

少量の出血ではタール便のように真っ黒な便にはなりません。

便が真っ黒になっているということは、相当量の出血があることを意味します。

具体的には、出血の量が1000ml以上の場合、黒くどろっとした便が排泄されるようになります。

これがタール便です。

もしこのような便が出たら、即病院に行かなければなりません。

消化管からの出血は一刻を争うからです。

 

今回はタール便を発生させる病気にどのような病気があるのか、そしてなぜ上部消化管からの出血がタール便になるのか、その原因を詳しく解説していきます。

 
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タール便の原因は食道、胃、十二指腸からの出血

冒頭でもお伝えした通り、タール便を引き起こす原因は食道、胃、十二指腸などの上部消化管と呼ばれる内臓からの出血です。

まずはこれらの内臓を解剖図で確認しておきましょう。タール便 原因 食道 胃 十二指腸

続いて、それぞれの部位で出血の原因となりやすい病気について解説していきます。

まずは食道からです。

 

食道出血の原因となる病気

食道は25cmほどの長さがあり、上図のように細長い臓器です。

消化管の一部に分類されますが、食道自体に消化機能はなく食べ物の通り道として存在しています。

しかし、ただ食べ物が通るだけでなく蠕動運動という動きを通して、食べ物が胃まで到達しやすいようにサポートしています。

また食道の内壁は重層扁平上皮細胞【じゅうそうへんぺいじょうひさいぼう】と呼ばれる丈夫な組織で構成されており、多少硬い食べ物が通過してもすぐには傷つかないようにできています。

そんな食道で出血の原因となる代表的な病気は、食道癌と食道静脈瘤です。

 

食道癌

食道癌は60歳以上の男性に多い癌です。

飲酒や喫煙が癌発生のリスクを高めることで知られています。

初期症状は飲み込み時の「しみる感じ」です。

そこから癌が進行していくと、硬いものが飲み込みにくくなったり、咳が多く出る、かすれ声になるなどの症状が出てきます。

もし、食道癌がタール便の原因であればすでにかなり進行している状態だと予想されます。

 

食道静脈破裂

もともとの持病として肝硬変などの病気がある人が、門脈【もんみゃく】と呼ばれる消化器系と肝臓などをつなぐ血管内の圧力が高くなることで、食道の静脈が拡張した状態が食道静脈瘤【しょくどうじょうみゃくりゅう】です。

この食道静脈瘤がひどくなると血管が破裂し、食道静脈破裂をきたします。

血管が破裂するので当然、大量の出血が発生します。

すると、タール便が出たり吐血することもあります。

 

胃出血の原因となる病気

タール便 胃出血

胃は上図をご覧いただくとわかるように、袋状の内臓です。

ご存知の方も多いと思いますが、胃の中では胃酸が放出され食べ物を溶かしています。

胃酸はpH1〜2のとても強い酸です。

胃の容量は1.5ℓほどもあり、ここで3〜6時間ほどの時間をかけてじっくり食べたものを溶かしているのです。

胃からの出血の原因となりやすい、代表的な病気は以下の通りです。

 

胃潰瘍

胃はいくつかの層で構成されています。

内側から粘膜層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜という構造になっています。

そして潰瘍とは、粘膜筋板を超えて組織が損傷した状態のことを言います。

胃潰瘍になると、みぞおちの痛みやお腹の張り、吐き気・嘔吐などの症状とともに、タール便や吐血などの症状が発生します。

胃潰瘍は急性のものと慢性のものに分けられます。

急性の胃潰瘍は、あとでご説明する急性胃粘膜病変のひとつに含まれます。

一方、一般的に胃潰瘍と呼ばれるものは慢性のものを指すことが多いです。

 

急性胃粘膜病変(AGML)

急性胃炎幕病変はAGMLとも略され、胃粘膜などに多くのただれや潰瘍、出血などが現れる病気で、急に襲ってくるみぞおちの痛みや吐き気・嘔吐などの症状が出ます。

胃で出血が起これば、それがタール便になることもあります。

原因はNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる、痛み止めの目的で使われる薬の服用が原因であることが最も多く、その他の原因としてはストレスやアルコールの過剰摂取、ピロリ菌への感染などがあげられます。

 

胃癌

胃癌の多くは、ピロリ菌への感染から引き起こされることがほとんどです。

その他の危険因子としては、食塩の過剰摂取、喫煙、βカロテンの摂取不足などがあります。

現在、ピロリ菌は薬物治療などにより除去することが可能です。

また、その他の危険因子についても日頃から注意しておくことで、胃癌発生の確率を大きく下げることができます。

防げる病気は日頃から注意して防ぐように努力しましょう。

 

マロリーワイス症候群

マロリーワイス症候群は、激しい嘔吐や吐き気が反復することで腹圧が上昇し、それによって食道と胃の境目あたりに傷ができ出血してしまう病気です。

過度のアルコール摂取が原因として最も多いです。

マロリーワイス症候群によって出血すると吐血する場合が多く、下血することは稀です。

傷の深さによって重症度は異なり、食道・胃壁が破裂するまでに至った場合は、緊急手術が必要になります。

 

胃静脈破裂

食道静脈破裂と同じ原因で発生します。

詳しくは前述した通りなので、食道静脈破裂の説明をごらんください。

 

十二指腸出血の原因となる病気

十二指腸は下図で黄色く色づけされているところです。

タール便 原因 十二指腸

胃に続く臓器が十二指腸です。

十二指腸はその名の通り、指12本分くらいの長さであることからこの名前が付けられています。

実際の長さは25cm程度です。

十二指腸は小腸の始まりの部位でもあります。

胃で溶かした食べ物を吸収しやすい状態にまで消化するのが、十二指腸の大きな役割です。

十二指腸に開いているファーター乳頭という穴から胆汁や、強力な消化酵素を含む膵液などが分泌され、食べ物を消化していきます。

十二指腸からの出血の原因となる病気といえば、十二指腸潰瘍が代表的ですので、以下にご説明します。

 

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍は胃潰瘍と同様に、粘膜筋板を超えて組織が損傷した状態のことを言います。

胃潰瘍と異なる点としては、発症しやすい人の年齢が胃潰瘍と比べて十二指腸潰瘍の方が比較的若ことや、空腹時や夜間にみぞおちの痛みが発生しやすいという特徴があります。

また、胃潰瘍では下血よりも吐血することの方が多いですが、十二指腸潰瘍では反対に吐血よりも下血することの方が多いです。

 

 

ここまでタール便の原因となる病気について解説してきましたが、胃での病気が圧倒的に多いですね。

体内で唯一、「酸」を発生させる臓器ですからそれだけ胃の負担も大きいのかもしれませんね。

一方で、より肛門に近い十二指腸での出血の方がタール便の原因となりやすいという面もあります。

胃や食道での出血だと血を吐き出す吐血になりやすいですが、十二指腸まで行くと吐血よりも下血が多くなるのです。

 
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黒色便とタール便の違い

ところで、黒い便のことをタール便とは言わず、黒色便【こくしょくべん】と表現する場合もあります。

両者は厳密に言うと異なるものです。

明確な基準があるわけではないですし混同して使っている人も多いと思いますが、一般的には黒色便よりもタール便のほうが出血量が多いです。

具体的には、黒色便の場合は数10ml程度の出血であるのに対して、タール便の場合は1000ml以上におよぶ出血によるものとされています。また、タール便はドロッとした性状であるという特徴があります。

このように黒色便とタール便を見分けるには、ドロっとしているかどうかの性状を確認することも判別の助けになるでしょう。

 

黒い便が出たらビックリする人が多いと思いますが、黒色便の原因は出血だけでなく摂取する食事にも左右されることがあります。

例えば鉄分を多く含むサプリメントなどを食べた場合には、便が黒くなることがあります。

その他にも、イカ墨など素材そのものが黒いものを食べても、黒色便の原因となります。

あるいは、黒い食材でなくても肉類を多く食べると便が黒っぽくなりますし、便秘のときも色が黒くなりがちです。

このように黒色便の原因は出血だけでなく、食材やサプリメントお通じの状態などさまざまな要因が関係しています。

しかし、自分で原因を判断するのはよくありません。

原因が明らかな場合は別として、原因がよくわからない場合は、病院で検査を受けてその原因を検査してもらうようにしましょう。

 

まとめ

タール便の原因となる上部消化管からの出血についてご紹介してきました。

上部消化管とは、食道、胃、十二指腸のことであり、そこに出血をきたす病気は多くあることがお分かりいただけたと思います。

消化管からの出血は即、命に関わります。

食べ物を消化し、吸収するということは人の体にとって欠かすことができません。

当然のことですが、人の体は栄養がなくては動かすことができません。

ですから、消化管の不具合は命と直結してくるのです。

日頃から体を気遣い、いたわるようにしましょう。

また定期的に健康診断を受けることでも、出血の兆候など体の不具合を発見するのに役立ちます。

もし、検診で異常を指摘されたならめんどくさがらずに精密検査を受けるようにしましょう。

ひとつしかない自分の体です。大切にしましょう。

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