横行結腸の痛みとは?その位置や病気を解剖図で解説!

横行結腸【おうこうけっちょう】という名前は、あまり聞きなれない言葉ではないでしょうか。

結腸は大腸の一部のことで、横行結腸の他に上行結腸【じょうこうけっちょう】、下行結腸【かこうけっちょう】があります。

横行結腸は名前の通り、お腹を横ぎるように存在している臓器で、体の右側から左側に伸びています。

結腸の中でも横行結腸は腹壁に固定されておらず、お腹の中でいろんな方向に動いています。

そのため、お腹の中にある隙間に横行結腸が入り込み、ヘルニアを引き起こすことがあります。

その他にも、横行結腸では癌が発生することもあります。

横行結腸の病気は、このような病気が一般的です。

 

病気が発生すると、その部位に痛みが生じることがあります。

ですが、横行結腸の場所がどこかわからないと、お腹が痛くても横行結腸からの痛みなのかどうかの判別がつきません。

 

そこで、今回は横行結腸の痛みの原因となる病気や、横行結腸の解剖学的な位置について解説していきます。

この機会に横行結腸について学んでみて下さい。

 

横行結腸の痛みを引き起こす 横行結腸間膜ヘルニア

まずは横行結腸の位置を解剖図で確認しておきましょう。

下図で黄色く示しているところが、横行結腸です。

横行結腸 痛み 位置

この横行結腸は、腸間膜の隙間に挟まってしまうことがあります。

腸間膜とは、腹壁に固定されていない臓器を腹壁に固定する膜です。

少し分かりにくいので解説します。

横行結腸以外の結腸である上行結腸や下行結腸は、後腹壁に固定されています。

つまり、お腹にぴったりとくっついて固定されているということです。

 

しかし、横行結腸はお腹にはぴったりとくっついておらず、ある程度自由に動けます。

ですが好き勝手に動いていては、お腹の中で消化管どうしで絡まってしまいます。ですから、動く範囲はある程度制限されています。

その制限するための道具として腸間膜があります。

ちなみに腸間膜は脂肪に富み、神経や血管、リンパ管なども分布しています。

 

ところがこの腸間膜には、穴が開いてしまうことがあります。

すると、しっかりと腹壁に固定されていない横行結腸は、この隙間にはまり込んでしまうことがあります。

この状態をヘルニアと呼びます。

腸がヘルニアを起こすと、腸内の血流が悪くなったり、中を通る消化物が詰まってしまうことがあります。

これがひどくなると、痛みを感じるようになります。

ヘルニアがひどくなると手術が必要になることもあるので、注意が必要です。

 

横行結腸の痛みの原因 横行結腸がん

横行結腸にできる癌は大腸癌のひとつとして分類されます。

大腸癌は早期には症状に乏しいことが多く、気付かれにくいです。

癌の進行とともに症状が出現し、気付くことが多いですが、同じ大腸癌でも部位によって症状の出方に差があり、癌の発見が遅れることもあります。

 

大腸の中でも横行結腸、上行結腸、盲腸は腸の内腔が広いことや、消化物が液状であることなどから、癌があっても消化物の通過障害が起こりにくいです。

そのため症状が出にくく、癌にも気付きにくいです。

お腹にしこりを感じるほどに癌が大きくなってから、その存在にようやく気付いたり、癌からの出血が続いて貧血症状が出てから気づくこともあります。

大腸癌ができやすい部位は、S状結腸や直腸ですので、横行結腸は比較的、癌ができにくい場所と言えます。

ただし、上記の理由により癌の発見が遅れやすい場所ですので、分かった時には重度になっていることもあります。

 

癌の治療には早期発見が何よりも大切ですので、定期的に癌の検査を受けておいたほうが良いでしょう。

 

横行結腸の位置を解剖図でチェック!

横行結腸の位置をもう一度確認してみましょう。

 

横行結腸の周囲には、どのような臓器があるかも見てみましょう。

胃と横行結腸の位置関係です。

横行結腸 胃 位置 図

 

小腸と横行結腸の位置関係です。

 

横行結腸 小腸 痛み 位置 図

肝臓と横行結腸の位置関係です。

 

横行結腸 肝臓 痛み 位置 図

下図のように腹腔内には、様々な臓器が所狭しと配置されています。

 

横行結腸 内臓全体 図 位置

横行結腸の中には、胃や小腸で消化・吸収され終わったものが流れていきます。

その内容物を運搬するために、横行結腸は蠕動運動、分節運動、振子運動といった動きを組み合わせています。

横行結腸の動きについては、こちらの記事をご参照ください。

参照)横行結腸の動きとは?様々な動き方で内容物を運搬している

 

まとめ

横行結腸の痛みや、その解剖学的な位置について図を用いて解説してきました。

横行結腸は腹壁に固定されておらず、動きに自由度があるため、ヘルニアを起こしやすいということが、お分かりいただけたと思います。

また、癌が発生することがある部位で、発見された時には進行していることもあるので、日頃から定期的な検査も大切であることがお分かりいただけたと思います。

特に、癌については近年の医学の進歩で早期に発見できれば、それだけ完治する可能性も高くなっています。

ですから、定期的な検査を心掛けるとともに、病気になりにくい体づくりとして栄養バランスの整った食事や、適度な運動を行うことが大切です。