鎖骨周辺の痛みが気になることはありませんか。
実は、鎖骨周辺の痛みは内臓の問題が原因になっていることもあります。
痛みの種類の1つに、関連痛【かんれんつう】というものがあります。
痛みというのは、体のどこかで問題が起きているために出現します。
つまり、体からの警告のようなものです。
通常は問題がおきているところが痛くなります。
例えば足の骨が折れたら、折れた場所である足に痛みを感じるでしょう。
しかし、関連痛では問題のある場所とは別の場所に痛みが出ます。
つまり、本当は肝臓に問題があるのに鎖骨のあたりが痛くなるなどです。
そんなこと本当に起こるの?
と思われるかもしれませんが、病院で医師が診察をするときには、関連痛のことは必ず頭に置いています。
基礎疾患に高血圧や糖尿病、脂質代謝異常などのある人が、急に強い肩の痛みにおそわれたら、心筋梗塞を疑うといったことが代表的な例です。
このような関連痛を鎖骨周辺に引き起こす臓器はたくさんあります。
また、鎖骨周辺の痛みだけに限りませんが、
- どこが痛むか
- いつから痛みが出て、どのくらいの時間痛いか
- どんなときに痛むか
- 痛みの種類がどのようなものか(シクシク、ズキズキ、キリキリなど)
- 痛みにともなう症状があるか(発熱、嘔吐、下痢など)
参考)図解入門よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ (How‐nual Visual Guide Book)
ということを確認しておくと、痛みの原因を特定するのに役立ちます。
今回は、鎖骨周囲で発生しやすい内臓からの関連痛について解説していきます。
鎖骨の上が痛い 関係する内臓とは?
まずはじめに、関連痛はおおよそ出現する場所が決まっていますが、個人差が大きいものであると知っておいてください。
この臓器が悪いと、「この辺に痛みが出やすい傾向がある」という程度のものなので、絶対ではありません。
また、病気の診断は医師以外行えません。気になる症状がある方は病院を受診してください。
では、鎖骨の上に出現する関連痛について解説していきます。
まずは、こちらの図をご覧ください。
赤くなっているところが心臓の関連痛が出やすいところです。
左鎖骨の上や背中の真ん中、左腕のあたりです。
心臓で何か問題があると、これらのどこかに痛みが出ることがあります。
心筋梗塞が起こっているのに胸は痛まず、肩が痛くなったと話される方も多いです。
続いてこちらの図をご覧ください。
これは肝臓の関連痛の出やすい場所を示したものです。
右鎖骨の上のあたりが痛むことがあります。
心臓は体の左側にある臓器で、肝臓は右側にあります。
つまり関連痛が出やすいのは、その臓器があるのと同じ側に出やすいということです。
続いては、こちらの図です。
胆のうの関連痛が出やすい場所です。
右肩上で、比較的広い領域で関連痛が出やすいです。
胆のうといえば胆汁という液体をためておくところです。
胆石という「石」ができやすいことで知られています。
続いてはこちらです。
肺の関連痛が出やすい領域です。
肺は左右両側に1つずつあるので、左右両方ともで痛みが出やすいです。
ここでもやはり、右肺が悪ければ右側が、左肺が悪ければ左側でそれぞれ痛みが出やすいです。
以上が鎖骨の上で関連痛が出やすい臓器です。
復習してみましょう。
- 心臓
- 肝臓
- 胆のう
- 肺
です。
繰り返しになりますが、関連痛が出る場所には個人差があります。
上記した臓器以外が悪くても鎖骨上が痛む場合もありますし、その場所も人によって異なることがあります。
ですが、痛みが出ているということは何らかの問題あるという体からのサインです。
きちんと病院にかかって検査してもらいましょう。
右の鎖骨が痛い 肝臓や胆のう、肺が原因の可能性あり
前述した通り、右の鎖骨が痛む場合は体の右側にある臓器で問題起こっている可能性が考えられます。
右の鎖骨上に関連痛を出しやすいのは、肝臓と胆のうです。
もう一度、図をチェックしてみましょう。
肝臓で起こる病気で、代表的なものは以下の通りです。
- 肝炎
- 脂肪肝
- アルコール性肝炎
- 薬剤性肝炎
- 肝硬変
- 肝臓癌
続いて、胆のうです。
胆のうで起こる病気で、代表的なものは以下の通りです。
- 胆石
- 胆のう炎
- 胆のう癌
右鎖骨周囲の痛みの原因は、肺の可能性もありますが肺は左右両側にありますので、次の段落でご紹介します。
左の鎖骨が痛い 心臓や肺が原因の可能性あり
続いて、左鎖骨周囲に関連痛を起こしやすい臓器についてです。
これも前述の通りなのですが、代表的な臓器は心臓です。そして肺です(肺は左右両側に痛みを送る可能性あり)。
まずは肺の関連痛領域を再度確認してみましょう。
肺で起こる代表的な病気は以下の通りです。これ以外にも肺の病気はありますが、緊急性の高いものを紹介します。
- 肺動脈血栓塞栓症
- 気胸
続いて、心臓の関連痛領域を再度確認してみましょう。
心臓の問題は、命の危険に直結します。
心臓の病気もさまざまありますが、関連痛として現れやすく緊急性の高い病気は以下の2つです。
- 心筋梗塞
- 狭心症
まとめ
鎖骨周辺に痛みを出す、内臓からの関連痛についてお伝えしてきました。
内臓の問題で鎖骨や肩に痛みが出ることがある、ということをご存じなかった方も多いのではないでしょうか。
何度もお伝えするようですが、関連痛の出る場所は個人差が大きいです。
そして、痛みは体からの警告サインです。
気になる痛みがある場合は、自己判断することなく専門医の診察を受けましょう。