大腸の位置を解剖図で解説!大腸の機能と働きについて

大腸の長さは成人で1.5m程あり、盲腸から始まり結腸、直腸と腹部をちょうど1周するように位置しています。

大腸は様々な病気が始まる場所と言われており、大腸の健康が全身の健康につながるといっても過言ではありません。

大腸は便を作る器官でもあり、そこには数百から1000兆匹に及ぶ腸内細菌が生息しています。

近年の研究では、この腸内細菌が人の健康に欠かせないものであることが分かっています。

そんな大腸も、お腹にある臓器ということは知っていても、その詳しい場所や、構造、部位ごとの名前についてはご存知ない方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は大腸の位置を解剖図を用いて、分かりやすく解説していきます。

健康に欠くことのできない大腸について、詳しく知ってください。

 

大腸の位置を分かりやすい図でチェック!

では、さっそく大腸の位置を図で確認してみましょう。

こちらが大腸です。

大腸位置図 解剖図

盲腸から始まり、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸で構成されます。

消化管 構造 機能 大腸部位名 

ところで、結腸は「結ぶ腸」と書きますが、これには由来があります。

結腸にはところどころに締め付けられたような”くびれ”と膨らみがあります。

これが腸を結んでいるように見えることから、結腸と呼ばれているのです。

くびれの部分を結腸半月(けっちょうはんげつ)、膨らみの部分を結腸膨起(けっちょうぼうき)と呼びます。

また、結腸ヒモと呼ばれる部位もあり、これは下の画像に示す位置にあります。

結腸ヒモ 大腸 位置 図

大腸は筋肉が多すぎると、腸壁が伸びにくく便をためるのに不都合になるため、結腸半月と結腸ヒモにしか筋肉がありません。

 

ちなみに内臓脂肪という名前を、テレビや雑誌で耳にしたり、見たことがある方もいると思いますが、内臓脂肪がたまると大腸を始めとする周囲の臓器を圧迫してしまい、機能低下を招くため良くありません。

一般に女性は男性に比べて皮下脂肪が多いです。その脂肪がクッションや断熱材の役割を果たすので、皮膚は薄くなります。

その薄い皮膚から、脂肪がしみ出していって、肌をしっとりさせる作用があります。

一方で男性は皮下脂肪が少ないので、脂腺から皮膚に直接油を分泌しているのです。

 

こちらの商品はおもちゃですが、わりと精巧に作られており、臓器の位置関係を理解するのに役立ちます。

 

大腸の免役機能

大腸の免疫機能を担うのは、盲腸の虫垂(ちゅうすい)腸内細菌です。

盲腸の虫垂から解説していきます。

まず虫垂の位置を確認しておきましょう。

赤丸で囲ったところが盲腸と虫垂です。

大腸位置 図 解剖図 虫垂

盲腸の先から尻尾のように出ているところが虫垂です。

虫垂では内容物が詰まるなどして、虫垂炎が起こることがあります。

虫垂炎は一般的に「盲腸になった」などと表現されたりします。

 

この虫垂はリンパ装置としての働きがあり、便として排泄するものの中に、人体に有害になるものがないか監視しています。

もし有害なものが含まれていたら、肝臓に送り解毒して排泄します。

こうすることで、排泄物で土壌が汚染されることを防いでいるのです。

子孫を反映させるための動物としての知恵と言えます。

 

大腸ガンができやすいのはS状結腸から直腸です。

肉などの高脂肪食を食べると、脂肪を乳化する(吸収しやすい状態にすること)ために胆汁が分泌されます。

実は胆汁は腸内細菌の悪玉菌と反応すると、二次胆汁酸という発がん性物質に変化してしまいます。

これは私見ですが、二次胆汁酸は便とともにS状結腸や直腸に溜められるので、そこでガンの発生率が高くなっているのではないかと考えられます。

このような二次胆汁酸による大腸ガンの発生を予防するには、野菜の摂取が大切です。

野菜の中でも食物繊維を多く含むものが重要です。

食物繊維は腸内に溜まった二次胆汁酸をかき出してくれたり、善玉菌のエサになったりするので、大腸がんの発生を予防してくれます。

 

大腸における腸内細菌の働き

腸内細菌は上記した通り、数百から1000兆匹もの数が大腸内に生息しています。

これらの中には、体に良い働きを及ぼす善玉菌、悪い働きを及ぼす悪玉菌、善玉菌と悪玉菌の強い方に味方する日和見菌があります

健康な体では善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7で存在しています。

現代人は、善玉菌よりも悪玉菌が多くなっている人が多いと言われています。

自分の腸内で、善玉、悪玉のどちらが多いかを判定するためには、おならの臭いが参考になります。

臭いが少なければ、善玉菌優位、反対に臭いがきつければ悪玉菌優位と判定されます。

 

善玉菌を増やすためには、食生活が重要です。

納豆や味噌などの発酵食品から乳酸菌を多く摂取することや、先ほどご紹介した食物繊維を多くとることで、腸内環境は整っていきます。

腸内環境を整えることは、癌の予防はもちろん、肥満アレルギーの改善にも有効とされています。

また、近年の研究では腸内細菌によって、その人の性格も変化するということが分かっています。

悪玉菌が多い現代人の腸と、キレやすいと言われる現代人の性格にも、何らかの関係性があるのかもしれません。

 

まとめ

大腸の位置を解剖図で解説と題してお伝えしてきました。

大腸について何となくのイメージはあっても、解剖図をまじまじと見たことがある方は少ないのではないでしょうか。

大腸と言うと、排泄担当の地味な臓器と言うイメージかもしれませんが、実は人の健康を支える縁の下の力持ち的な臓器です。

大腸の機能を高めるためには腸内細菌の協力が欠かせません。

そのために私たちが気を付けるべきことは、日々の食生活です。

乳酸菌や食物繊維をしっかり摂ることで、腸内細菌や大腸を労わる生活を続けましょう。