健康を気づかう人が増えてきていますが、なかでも腸内環境と健康な体の関連性が解明されるにつれ便秘を気にする人も増えてきたように感じます。
そういった影響もあってか、プロバイオティクスという言葉をテレビや雑誌で聞くことが多くなりました。
プロバイオティクスと聞いてなんとなくは意味がわかっても、いざそれを説明しようと思うとなかなか難しいという方も多いのではないでしょうか。
プロバイオティクス=腸内環境にいい、というところばかりが一人歩きして、それが一体なにを意味するのかわからないという人もいます。
そこで今回は、プロバイオティスクとはどういう意味で、どのような効果があるのか、いくつかの研究論文をもとに解説していきます。
プロバイオティスクは確かに効果があるものですので、その意味や効果を知って正しく使いましょう。
プロバイオティクスってどういう意味?
プロバイオティクスとは、適量を摂取することで腸内細菌のバランスを整えるなど、人体に有効な効果をもたらす生きた微生物のことを言います。
要するに体に良い微生物ってことですね。
プロバイオティクスと似た言葉で、プレバイオティクスという言葉もあります。
プレバイオティクスとは、腸内細菌などの微生物の栄養になる食物繊維などを含む食品を摂取することを指します。
つまり、腸内細菌のエサを摂ることがプレバイオティクスということです。
そして、これらプロバイオティクスとプレバイオティクスを同時に行うことをシンバイオティクスと言います。
本気で腸内環境を良くしようと思ったら、シンバイオティクスを行うべきでしょう。
なぜかと言うと、いくらプロバイオティクスで微生物を取り込んでもエサがなければ働く前に死んでしまいますし、反対にエサばかり摂取しても微生物がいないのであれば意味がありません。
ですから、これらは車の両輪のようなものでこれら二つを同時に行うことで、より効果を発揮できるのです。
ただし、このシンバイオティクスについてはまだ研究が進んでいません。
なぜかというと、まずはプロバイオティクスの効果を検証することの方が先だからです。
一応、理論上はシンバイオティクスが一番良いけど、まずはプロバイオティクスの研究をしっかり行って、効果があるということを証明しなければなりませんからね。
では次に、プロバイオティクスの有効性について調べた研究をご紹介していきます。
プロバイオティクスの有効性とは
プロバイオティクスは生きた有益な効果をもたらす生きた微生物を取り込むことでしたね。
ところが微生物は地球上に無数に存在します。
ですから、プロバイオティクスとして働く微生物も当然多く存在します。
以下にいくつかの微生物について調査した研究を載せておきます。
- Lactobacillus casei Shirota は以下の文献によって、慢性便秘患者に対して腹部症状を悪化させることなく、排便回数を優位に増加させるとされいます。
Koebnick C, Wagner I,Leitzmann P, et al. Probiotic beverage containing Lactobacillus casei Shirota improves gastrointestinal symptoms in patients with chronic constipation. Can J Gastroenterol 2003;17:655-659
- Bifidobacterium lactisは、以下の文献によって効果が示されています。
Yang YX, He M, Hu G, et al. Effect of a fermented milk containing Bifidobacterium lactic DN-173010 on Chinese constipated women. World J Gastrorntrol 2008;14:6237-6243
- Lactobaccilus johnsonniiは、以下の文献によって効果が示されています。
Fukushima Y, Yamamoto T, Kusano A, et al. Effect of Fermented Milk Containing Lactobacillus johnsonii La1(LC1) on Defecation in Healthy Japanese Adults: A Double Blind Placebo Controlled. Bioscience and Microflora 2004;23:139-147
- Bifidobacterium breveは、以下の文献によって効果が示されています。
Del Piano M, Carmagnola S, Androni A, et al. The use of probiotics in healthy volunteers with evacuation disorders and hard stools: a double-blind, randomized, placebo-controlled study. J Clin Gastroentrol 2010;44(Suppl 1):S30-S34
- Lactobacillus reutersは、以下の文献によって効果が示されています。
Onetti V, Ianiro G, Tortora A, et al. effect of Lactobacillus reuters supplementation in adults with chronic functional constipation: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. J Gastrointestinal Liver Dis2014;23:387-391
このように多くの種類の微生物が、便秘に対して有効であると示されているのです。
上記の研究はすべてランダム化比較試験という信頼度の高い方法を用いて行われた研究です。
ですから、これらの研究結果は信ぴょう性が高いと言えるでしょう。
また、これらの研究方法よりもさらに信頼性の高いメタアナリシスでも、プロバイオティクスによって排便回数が増加することや腸の内容物が腸内を通過する時間の短縮が認められると確認されています。
ただ、これらの研究の欠点をあげるとすれば、研究の期間が短いものが多く、多くの種類の微生物が用いられているため、個々人に合わせてどれくらいの期間プロバイオティクスを行うべきか、どの種類の微生物を用いるべきか、さらに研究を進める必要があると言えます。
まとめ
プロバイオティクスの慢性便秘への効果についてお伝えしてきました。
研究の結果を見ると効果はあると言えそうですが、最後の方でもお伝えした通りどのくらいの期間、どの種類の微生物を摂取すれば良いかはまだ検証の余地があります。
ですが、個人レベルでは様々な発酵食品を摂取することでプロバイオティクスが行えます。
発酵食品といえば、ヨーグルトや納豆、味噌、ぬか漬けなどですね。
例えばヨーグルトに含まれている微生物は、納豆のものとは異なります。
ですから、様々な発酵食品を一定期間食べ続けてみて、便秘の具合に変化があるか検証して自分に合ったものを見つけられると良いですね。