高齢者の便秘の原因を医学的研究から考える。

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便秘というと若い女性が悩むものというイメージが強いかもしれません。

しかし、平成25年に行われた国民生活基礎調査によると若い女性よりも、男女を問わず高齢者で便秘に悩む人が多いことがわかっています。

実際に私が理学療法士として関わる高齢者の中にも便秘に悩んでいる人は多いです。

以下のグラフは国民生活基礎調査の結果です。高齢者 便秘 グラフ

このグラフを見る限り、確かに70歳以上の男女において、急激に便秘症状を訴える人が増えてきているのがわかります。

しかし、数としては70〜79歳の人で1000人中100名以下、80歳以上でも1000人中140人以下となっています。

これは私の実感からすると低すぎるように思います。

実際に私が高齢者と関わっている感覚としては、もっと多い人数が便秘に悩んでいます。

便秘になっているとトイレのことが常に気になり、落ち着きがなくなる方が多いです。

そこに認知症などが加わると、慌ててトイレに行こうとして転倒、骨折という流れをたどる人も少なくありません。

そこまでいかないにしても、便秘というのは肉体的にも精神衛生上においても好ましくありません。

そこで今回は、高齢者に便秘が多く発生してしまう原因について、医学研究の論文を交えながら解説していきたいと思います。

 
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高齢者の便秘 その原因とは?

高齢者の便秘の原因としてまず挙げられるのは、加齢にともなう神経の変化です。

腸はぜん動運動という動きを行うことで、便を運搬しています。

ぜん動運動は腸の筋肉が働くことによって遂行されているのですが、この筋肉に運動の指令を出しているのが神経です。

加齢によって神経の働きが低下すると、ぜん動運動もおこなりにくくなり便が停滞し、便秘になりやすくなってしまうというわけです。

このことに関してこんな研究があります。

手術時に得られたヒト結腸の検体を使用した研究において、朝刊の筋層間の神経細胞が加齢とともに変性し、正常神経節の数が減少する傾向を示した。

Hanani M, Fellig Y, Udassin R, et al. Age-related changes in the morphology of the myenteric plexus of the human colon. Auton Neurosci 2004; 113: 71-78

 

年齢とともにコリンアセチルトランスフェラーゼ陽性細胞数とニューロン新生マーカーであるHu抗体陽性細胞が減少するのに対し,神経型NOSの数と一酸化窒素陽性細胞が温存されることを示した報告がある
Bernard CE, Gibbons SJ, Gomez-Pinilla PJ, et al. Effect of age on the enteric nervous system of the human color. Neurogastroenterol Motil 2009, 21: 746-e46

これらの研究から、加齢とともに神経細胞の数が変化することはわかっているが、それが実際に腸の蠕動運動にどのような影響を及ぼすのかということははっきりとしていません。

しかし、神経細胞の数が変化すればそこから指令を受ける腸の筋肉の働きも変化する、と考えるのが自然であると思います。

さらに、便意をもよおす時というのは、一定量の便が腸内にたまることによってそれが刺激となり、大脳に伝わり便意として感じられるようになっています。

ところが高齢になるにつれ、その刺激を感じとる能力も低下してきます。

こうなると、腸内に便は溜まっているのに便意としては感じることができず、その結果トイレに行くことなく腸内に便がたまります。

便が腸内に留まり続けると、そこから水分は取られていくのでやがてカチカチになって便秘となってしまうのです。

その他に高齢になって運動量が低下したり、食事量が減ったり、精神面が変化することでも便秘を発症しやすいとされています。

また結構ありがちなのが、何らかの病気が便秘の原因となていることや、その治療として薬を飲んでいて副作用で便秘になりやすくなっているということもあります。

女性の場合には、出産によって骨盤底筋の協調運動障が発生し便を出しにくくなっている人もいます。

 

まとめ

高齢者の便秘は神経の働きが低下することによって発生することが多い。

だが、運動量、食事量の低下、精神面の変化、病気やそれにともなう服薬、骨盤底筋の協調運動障がいなど便秘の要因は多岐にわたる。

そのため、便秘の原因を自己判断することなく便秘外来など、専門の医療機関を受診し原因に応じた治療を行うことが不可欠である。

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