剣状突起の位置を図でチェック!痛みについても解説

剣状突起と書いて、「けんじょうとっき」と読みます。

剣状突起は胸骨の一部で、その形はさまざまで、人によって、剣状突起に穴が空いていたり、二又に分かれている人もいるようです。

解剖学的には、横隔膜や腹筋の一部が付着する部位としても知られています。

普段はあまり意識することのない剣状突起ですが、心肺蘇生を行う時には十分に注意しなければなりません。

心臓マッサージをする時に、押さえる位置を間違えると剣状突起が骨折する危険性があるからです。

剣状突起が骨折すると、肝臓に突き刺さってしまうこともあり大変危険です。

せっかく人命救助をしようと思って、心臓マッサージをしたのに、かえって状態を悪化させてしまったというのでは目も当てられません。

 

いざという時に、焦って剣状突起を骨折させることがないよう、今回の記事で剣状突起の位置をしっかりと確認しておきましょう。

 

剣状突起の位置を画像でチェック!

ではさっそく剣状突起の位置を画像で確認してみましょう。

剣状突起位置図

胸郭の中央に位置するのが胸骨です。

胸骨は3つのパーツに分けられます。

一番上に位置するのが、胸骨柄【きょうこつへい】です。

剣状突起 位置 図 胸骨柄

中央に位置するのが、胸骨体【きょうこつたい】です。

剣状突起 位置 図 胸骨体

胸骨柄と胸骨体の境目のところを胸骨角【きょうこつかく】と呼びます。

剣状突起 位置 図 胸骨角

ここは高齢者を除いて、ほとんどの人で癒合(くっつくこと)することはありません。

胸骨を横から見るとわかりますが、胸骨角は出っ張っており、体表からも確認することができます。

ここには、第2肋骨が付着するのでランドマーク(指標)として、よく用いられます。

 

そして、胸骨の先端に剣状突起が位置します。

剣状突起 位置 図

胸骨体は、だいたい成人までに骨化すると言われていますが、剣状突起は40歳前後まで骨化が起こりません。

また、剣状突起と胸骨体は通常、癒合(くっつくこと)することはありません。

 

剣状突起の痛み

冒頭でもお伝えしましたが、剣状突起は心臓マッサージを間違った方法で行うと容易に骨折します。

心臓マッサージを正しい方法で行う時には、左右の乳頭の中央を押さえます。

剣状突起 位置 図 心臓マッサージ

しかし、正しいやり方を知らない人は、その少し下のみぞおち周辺を押さえてしまうことがあります。

前述の通り、胸骨体と剣状突起は癒合しませんので、剣状突起を強く圧迫すると容易に骨折してしまいます。

骨折した剣状突起は肝臓に刺さりやすいです。

心臓マッサージを行う時には十分に注意しましょう。

 

また骨折がなくとも、剣状突起の周囲で痛みが発生することはあります。

剣状突起はみぞおちに位置していますが、みぞおちに痛みが出る原因はさまざまです。

多いのは、胃の病気です。

胃はみぞおちに位置しています。

剣状突起胃位置図

胃潰瘍や、胃酸の逆流で痛みが発生することがあります。

 

また、膵臓は胃の後ろに位置する臓器ですが、膵臓に問題が起こってもやはり、みぞおちの痛みとして感じられることがあります。

剣状突起膵臓位置図

膵炎、膵臓がんなどが代表的です。

 

そして、みぞおちからは離れた位置にありますが、心臓に問題が起こっても、みぞおちの痛みとして感じられることがあるので、注意が必要です。

剣状突起心臓位置図

特に急性心筋梗塞になった場合、初期症状としてみぞおちの痛みが発生します。

このように剣状突起の周辺に痛みが出る場合、骨折以外にも原因があることを頭に置いておきましょう。

みぞおち周辺の痛みについてはこちらの記事で、より詳しく解説しています。

参照)みぞおちの位置と痛みについて解説!

 

剣状突起と筋肉、腸との関係

剣状突起には横隔膜や腹直筋が付着します。

剣状突起と横隔膜の画像です。

剣状突起横隔膜位置図

 

続いて、剣状突起と腹直筋の画像です。

剣状突起腹直筋位置図

当ブログをよくご覧になっている方はお分かりだと思いますが、これらの筋肉は排便と深く関わります。

具体的には、「いきみ」の時に腹直筋や横隔膜の強く働きます。

また、横隔膜は呼吸筋として働いていますが、腸を刺激する重要な筋肉でもあります。

 

横隔膜が上下に動くことで、腸は圧迫を受けたり、解放されたりを繰り返します。

この動きによって刺激が加わり、腸の活動が活発になり、スムーズな排便にもつながります。

骨折しやすい剣状突起ですが、筋肉の付着部として大切な役割を持っています。

また間接的にですが、横隔膜や腹直筋を通して、腸の働きやスムーズな排便に一役買っているのです。

 

まとめ

剣状突起の位置について画像を用いて解説してきました。

画像を用いることで、剣状突起の位置をイメージしやすかったのではないでしょうか。

普段は心臓マッサージをする機会などないでしょうが、心臓マッサージが必要な時は急に訪れます。

その時に、剣状突起を押さえてしまい、かえって重症化させてしまうことがないように、今回の図をしっかり覚えておいてください。

医療に携わる仕事をされている方は、定期的に心肺蘇生法の講習を受けておくことをお勧めします。

消防局などで行われていることが多いので、一度ご連絡されてみてはいかがでしょうか。

心肺蘇生法を一度経験しておくと、いざという時に焦らず行動できますよ。