胆汁の色は緑色?酸化すると色が変化する!

胆汁の色 緑色

胆汁は肝臓で作られている液体です。

胆汁の色は緑色と思われている方が多いですが、実は、もともとの色は黄褐色です。

黄褐色とは、べっこう飴のような色のことです。

緑色とは、かなり異なる色ですね。

なぜ、このように違う色で認識されているのでしょうか。

それは「空気」による、胆汁の色の変化が影響しています。

 

今回は、胆汁の色の変化について解説していきます。

 

胆汁と言う名前は聞いたことがあっても、どのような働きがあるのかまではご存知ない方が多いと思います。

胆汁は、三大栄養素である脂肪の吸収に欠かすことができません。

そこで胆汁の色のことに加えて、胆汁の働きや腸との関わりについてもお伝えしていきます。

 

胆汁とは

冒頭でもお伝えした通り、胆汁は肝臓で作られる黄褐色の液体です。

肝臓はこちらです。

胆汁色緑色肝臓

栄養素の吸収の大部分は小腸で行われますが、胆汁の働きによって脂肪の消化、吸収が促進されます。

また胆汁は肝臓の老廃物でもあるため、胆汁を分泌することで肝臓内で不要になった老廃物が排泄されているのです。

 

胆汁の成分は水、電解質、胆汁酸、胆汁色素(直接ビリルビン)、コレステロール、リン脂質などからなります。

この中で、胆汁色素(直接ビリルビン)こそが胆汁の色付けを行っている成分です。

ちなみにビリルビンとは、古くなった赤血球が壊される時に発生する黄色い物質です。

このビリルビンは脾臓でつくられ、肝臓で処理されます。

脾臓はこちらです。

胆汁 色 緑色

その肝臓で処理される前のビリルビンを間接ビリルビンと呼び、肝臓で処理された後のビリルビンを直接ビリルビンと呼びます。

肝臓で処理された後の、直接ビリルビンの状態でも黄色の状態です。

では、多くの方が胆汁の色として認識されている「緑色」には一体いつ変化するのでしょうか。

 

胆汁の色は緑色?

胆汁は肝臓で作られた後、胆嚢へと運搬され貯蔵されます。

胆嚢は肝臓の下に付いている緑色のものです。

胆汁色緑色胆嚢

肝臓と胆嚢のみを拡大してみましょう。

胆汁色 緑 肝臓 胆嚢

肝臓の下に隠れるように位置しているのが胆嚢です。

胆汁は脂肪の消化や吸収を助ける働きがあるので、脂質の多い食べ物を食べるなどして胆汁が必要な状態になると、胆嚢から十二指腸へと排出されます。

胆嚢は、胆汁を濃縮、貯蔵して必要に応じて十二指腸に排出するためだけに存在している器官です。

胆汁の濃縮は通常でも5〜10倍になります。最大では20倍にまで濃縮することができ、かなり濃い胆汁となります。

 

実は胆汁の色の変化は、この胆嚢で貯蔵されている間に起こります。

胆汁が酸化されることで、黄褐色から緑色に変化するのです。

 

まとめると、胆汁が肝臓でつくられた時には黄褐色ですが、胆嚢にためられている間に酸化し、緑色に変化するということです。

 

胆汁の排出はこのように行われる

上記の通り普段、胆汁は胆嚢に貯蔵されています。

脂質を多く含む食物を食べて、それが十二指腸に到達すると、コレシストキニン(CCK)というホルモンが分泌されます。

すると胆嚢が収縮し、胆汁が胆管を通して十二指腸の方へ流れていきます。

胆汁色 緑色ファーター乳頭

胆汁は十二指腸のファーター乳頭から胆汁が排出されます。

分泌された胆汁は脂肪の消化や吸収を助け、小腸での吸収をスムーズにします。

 

胆石症などになると、手術によって胆嚢を取り除くことがあります。

胆嚢を取り除いてしまうと、胆汁を濃縮したり、貯蔵する機能が失われるため、胆汁が肝臓から垂れ流されるような状態となります。

そのため、手術直後は脂肪分の多い食事を摂ると消化不良となることがあります。

しかし、胆嚢の摘出からしばらくすると、体がその状態に順応し問題とならないことが多いです。

 

胆汁酸は小腸から吸収される

脂質の消化、吸収を助けた胆汁は、小腸の末端でその多くが再吸収されます。

再吸収された胆汁は、門脈【もんみゃく】という腸と肝臓をつなぐ血管を通して、再び肝臓に戻され再利用されます。

胆汁色緑色門脈

上図で青色になっている血管が門脈です。

 

胆汁は体の中でリサイクルされているということです。

このような胆汁を再利用する仕組みを腸肝循環【ちょうかんじゅんかん】と言います。

 

この時、再吸収されなかった胆汁は大腸まで流れていき、腸内細菌に分解されるなどして便として排泄されます。

実は便の色付けを行っているのも胆汁です。

ここで、胆汁は緑色になっているのに、そこから色付けされる便の色は違う色なのか?と疑問に思われる方もいるかもしれません。

この色の変化は腸内細菌が引き起こします。

腸内細菌は胆汁中のビリルビンをウロビリノーゲンという成分に変化させます。

ウロビリノーゲンはさらにステルコビリンという物質に変化し、便の色である黄土色に変化するのです。

このようにビリルビンは様々な物質に変化し、同時に色を変えていくのです。

 

まとめ

胆汁の色の変化についてお伝えしてきました。

肝臓から排出されたばかりの胆汁は黄褐色ですが、胆嚢で濃縮、貯蔵されている間に緑色に変化していくことがお分かりいただけたと思います。

多くの人が胆汁の色として認識している緑色は、このようにしてできています。

胆汁を色の変化で見てみるのも面白いですが、その最も重要な機能は、肝臓の老廃物の排泄と脂質の消化、吸収を助けることです。

脂質は三大栄養素の一つであり、人の体にとって欠かすことのできない栄養素です。

これを吸収するためには、胆汁の働きはもちろんですが、吸収する腸の機能も重要です。

栄養を吸収できる唯一の器官である腸も大切にしましょう。