坐骨【ざこつ】の場所をご存知でしょうか。
坐骨と名前がついているくらいだから、座るときに支えになる骨でしょ?と思われるかもしれません。
確かに、座る時には坐骨で体を支えるようになります。
しかし、それは「良い姿勢で座った場合には」という条件付きになります。
実は、坐骨は骨盤の一部で、左右一対の骨です。
座るときの姿勢は、「坐骨座り」と「仙骨座り」という2種類の座り方があります。
名前の通り、「坐骨座り」の時には、坐骨に主に体重がかかるようになります。
いわゆる良い姿勢で座ったとには、この坐骨座りになっています。
反対に背もたれにもたれかかったり、だらけた格好で座っているときには仙骨座りになっています。
また、坐骨は座るときに活躍する骨だけではなく、多くの筋肉が付着したり、神経や血管の通り道を形成する骨でもあります。
そこで今回は、坐骨の位置を解剖図を用いてわかりやすく解説し、どのような機能があるのかといったことや、坐骨を使った正しい座り方などを、お伝えしていきます。
坐骨の位置を図でチェック!
まずは、坐骨の位置を解剖図で確認してみましょう。
坐骨は骨盤の一部です。
骨盤はこちらです。
この中で、坐骨は下図で黄色で示したところです(点線は腸骨や恥骨のおおよその境界線を示しています)。
骨盤を外側から見た図でも、確認してみましょう。
同じく黄色いところが坐骨です(赤いところは腸骨です)。
ちなみに、坐骨と腸骨、恥骨を合わせた骨のことを寛骨【かんこつ】と言います。
これらすべての骨が集まることで、骨盤になります。
骨盤については、こちらの記事でより詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
参照)骨盤について解説!
坐骨座り、仙骨座りとは?
冒頭でもお伝えした「坐骨座り」と「仙骨座り」について、詳しく解説していきます。
坐骨座りをしている時の姿勢は、このような姿勢になります。
骨盤の位置が、立っている時と同じような位置をとり、骨盤の上にある背骨も適切な状態となります。
下図をご覧ください。
本来、背骨はS字にカーブしています。
仙骨座りでは、このS字カーブを崩すことなく座れるので、腰や肩、首への負担が最小限になります。
一方、仙骨座りでは、このような姿勢になります。
見るからに”悪い姿勢”といった感じですね。
しかし、この姿勢は”楽”な姿勢でもあります。
なぜこの姿勢が楽かというと、筋肉を使わなくてよいからです。
骨盤を後ろに倒して、椅子の背もたれに寄っかかってしまえば、自分の筋肉は必要最小限しか使わなくて良いのです。
ですが、この姿勢を長時間続けると、今度は腰や肩、首に負担がかかります。
これはなんとなく、経験的にわかるという方も多いのではないでしょうか。
背骨のS字カーブが崩れた姿勢を続けるというのは、腰痛や肩こりの原因となります。
また、仙骨座りでは腸をはじめとした内臓も圧迫を受けやすいです。
特に腸は活発に動いて、内容物を先に送る蠕動運動【ぜんどううんどう】を行っています。
圧迫された状態では、この動きも出しづらいです。
このように、仙骨座りを続けることは、腸にとっても良くないことなのです。
坐骨にはたくさんの筋肉が付着する
坐骨には、太ももの裏側の筋肉が数多く付着しています。
代表的なものを挙げると、
- 大腿二頭筋
- 半腱様筋
- 半膜様筋
などです。
また、坐骨に付着してはいませんが、坐骨を覆うように存在するのが、大臀筋です。
この大臀筋は立ったり、歩いたりするときに活発に働く筋肉ですが、実は座るときにも重要な働きを持っています。
上記した坐骨座りをしたときに、骨だけで体を支えようとすると、不安定になりやすいです。
例えば、骨だけを椅子に座らせた時は、何か支えるものがないと倒れてしまいます。
そんなとき、バランスをとるのに役立つのが、大臀筋です。
大臀筋が坐骨を覆うことによって、いわば「筋肉のクッション」として安定性を高めます。
また、バランスが崩れれば、筋肉に力を入れて修正することもできます。
この筋肉の上に坐骨が乗ることで、座ったときの姿勢維持ができているのです。
坐骨の近くには、神経や血管が通っている
筋肉と同様に坐骨の周囲には、多くの神経や血管も通っています。
特に有名なのは、坐骨神経です。
この神経が原因となる、坐骨神経痛もよく聞く病気ではないでしょうか。
坐骨神経は、太ももの裏側を走っている神経なので、坐骨神経痛などの症状は太ももの裏側に出ることが多いです。
ちなみに坐骨の上に穴が空いていますが、この穴のことを閉鎖孔【へいさこう】と呼びます。
ここには、閉鎖膜というものが張っています。
その閉鎖膜を閉鎖管が貫いており、その中を閉鎖神経、閉鎖動脈、閉鎖静脈が通っています。
まとめ
坐骨の位置を解剖図を用いて解説してきました。
坐骨がどこの骨のことか、イメージできるようになったのではないでしょうか。
それぞれについている名前というのは、意味があってそうなっています。
坐骨の場合は、座るときに主に支える骨であるため、「坐」という字が使われています。
人が集中して作業するとき、多くの場合座って行います。
今回の記事で、坐骨があるからこそ、座位姿勢を安定させることができることがお分かりいただけたと思います。