みぞおちと聞いて、その場所が思い浮かぶでしょうか。
みぞおちは心窩部【しんかぶ】とも呼ばれ、左右の肋骨【ろっこつ】が胸の前で合わさったところの下にある骨がない場所のことを言います。
文字で書くと伝わりにくいですね。
ちなみにみぞおちは漢字で書くと「鳩尾」と書きます。
ここに位置する内臓には胃や膵臓があります。
ですから胃や膵臓などに病気がある時は、みぞおちに痛みや苦しさを感じることがあります。
ストレスがたまると胃がキリキリと痛むことがありますが、その時痛みを感じている場所もみぞおちです。
みぞおちの症状の原因は胃や膵臓の他に、心臓や食道、十二指腸などの臓器が原因となることもあります。
そこで今回は、みぞおちの場所を図で確認して、痛みや苦しさが出る原因について解説していきます。
もくじ
みぞおちの場所を図でチェック!
まずはみぞおちの場所を図で確認してみましょう。
体表から見ると、みぞおちは下図の赤丸の周囲です。
骨格のみで見ると下図のようになります。
上図で赤丸で囲んだ周辺がみぞおちです。
ここは左右の肋骨が胸骨に付着するところです。
肋骨は一般的にはあばら骨と呼ばれることもありますね。
みぞおちには胸骨から剣状突起が伸びています。
剣状突起とは下図の部位です。
剣状突起とは胸骨の先端部分です。ここには横隔膜や腹筋の一部が付着しています。
剣状突起は強い力で押されると骨折を起こしやすい部位です。
心臓マッサージをやり慣れていない人が心臓マッサージを行うと、剣状突起の骨折が起こりやすいです。
骨折すると肝臓などに刺さることがあるので、心臓マッサージを行うときには注意が必要です。
みぞおちが苦しい原因は?
みぞおちに苦しい感じがあるときに考えられる代表的な病気は、食道炎です。
正式には胃食道逆流症【いしょくどうぎゃくりゅうしょう】と言います。
胃酸が胃から食道に逆流してしまう病気です。
みぞおちの苦しさの他に、胸焼けや食後などに苦くて酸っぱい感じがするなどの症状が現れます。
胃食道逆流症の原因の多くは、食道と胃の間にある括約筋(締めてふさぐ筋肉)の活動が悪くなることです。
括約筋の働きが鈍るのは、加齢や食事の食べ過ぎが続くことなどによって引き起こされます。
胃食道逆流症の治療は、就寝前の食事を避ける、睡眠時に上半身を高くするなどの生活指導や、胃酸の分泌を抑える薬や括約筋の働きを良くする薬の使用などがあります。
普段から気をつけられることとしては、食事の食べ過ぎを控えたり、食べてすぐ横にならないなどです。
みぞおちの痛みや吐き気の原因は?
みぞおちの痛みの原因は胃、十二指腸、膵臓、心臓などの病気が考えられます。
みぞおちの痛みの原因 胃、十二指腸
みぞおちの痛みの原因として多いのは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍です。
胃や十二指腸の粘膜が胃酸によってただれ、痛みを引き起こします。
胃、十二指腸潰瘍の痛みはキリキリとした痛みで、空腹時や夜間に出現するという特徴があります。
みぞおちの痛みとともに吐き気や嘔吐が出ることもあります。
みぞおちの痛みの原因 膵臓
膵炎になった時にも、みぞおちに痛みが出ます。
膵炎は膵臓から分泌される消化液である膵液が逆流してしまうことで、膵臓自体が消化されてしまう病気です。
その原因は、男性ではアルコールの過剰摂取、女性では胆石であることが多いです。
膝を抱えて背中を丸める格好をとると痛みが和らぐという特徴があります。
重症化すると、命に関わる病気なので専門医による治療が必要です。
みぞおちの痛みの原因 心臓
みぞおちに急に痛みが出てきたときには、急性心筋梗塞の可能性も疑わなければなりません。
急性心筋梗塞の初期症状はみぞおちの痛みや吐き気、嘔吐などの腹部症状から出てくることもあるのです。
糖尿病や高血圧、喫煙などが発症リスクを高めますので、これらの因子を持っている人は急にみぞおちの痛みが出てきたときには注意が必要です。
まとめ
みぞおちの場所を図で伝えしてきました。
みぞおちの苦しさや痛みについても解説してきましたが、どのような病気が原因になるのかお分りいただけたのではないでしょうか。
「みぞおち」という言葉は聞いたことがあって、なんとなくはどこのことかわかるけど、どのような構造になっていて、そこにどんな臓器があるのかということはごご存知なかった方も多いのではないでしょうか。
一般の方も体の場所の名前を知っておくことは大切です。
例えば、お腹が痛いと言ってもお腹のどこなのかは聞いている人は分かりません。
そんな時に、みぞおちが痛いと言えばおおよその場所が分かります。
今回は図を交えてみぞおちの位置を解説していますので、一度見たら覚えられると思います。
みぞおちの場所を覚えて活用していきましょう。