十二指腸の名前の由来は、指12本分ほどの長さがあるためと言われています。
実際の長さは約25cmとされています。
小腸の始まりの部位である十二指腸は、膵液や胆汁などが混ざった液体を分泌するファーター乳頭を持ち、消化が行われるところです。
小腸の始まりということは、一つ前の臓器は胃です。
胃では、強酸である胃液が分泌され食べ物を溶かしています。
その胃液が流れてくる十二指腸が胃液で溶かされてしまうことはないのでしょうか。
実は、膵液や胆汁はアルカリ性の液体なのです。
ですから、胃液とまざり合わさることで中和され、十二指腸が溶けてしまうことがないようになっています。
体というのは、本当によくできていますね。
ですが、そんな十二指腸でも病気になることはあります。
十二指腸で起こる病気といえば、十二指腸潰瘍が最も有名ではないでしょうか。
十二指腸潰瘍はヘリコバクターピロリへの感染などが原因となり発症する病気で、腹痛を伴います。
このような病気を発症する十二指腸という名前は聞いたことがある方も、その詳しい場所はご存じない方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、十二指腸の場所を図を用いてわかりやすく解説し、その働きについてもお伝えしていきます。
十二指腸の位置を図で解説!
十二指腸が小腸の始まりの部位であることはすでにお伝えしました。
小腸は1本の管状になっており、十二指腸から始まり、空腸、回腸へと続きます。
そして、その小腸は胃と繋がっています。
さっそく図でチェックしてみましょう。
上図で黄色く示しているところが十二指腸です。
十二指腸の周囲は他の臓器も密集しています。
特に近くに位置するのが膵臓【すいぞう】と胆嚢【たんのう】です。
膵臓と胆嚢も加えて十二指腸を見てみましょう。
膵臓からは膵管、胆嚢からは胆管が伸びて十二指腸へと繋がっています。
これらはそれぞれ、膵液や胆汁を十二指腸に供給しているのです。
胆嚢の上には肝臓が位置しています。
十二指腸と胃、膵臓を後ろからも見てみましょう。
膵臓が胃の後ろにべったりとついて、十二指腸にも膵頭部が密着していることがお分かりになると思います。
十二指腸は消化を担う器官
膵液は三大栄養素である蛋白質、脂質、炭水化物すべてを消化する強力な消化液です。
胆汁は脂肪を乳化【にゅうか】といって吸収できる状態にする働きがあります。
それぞれ、消化、吸収に重要な働きをしています。
実は、これらの分泌液は消化吸収以外にも重要な働きがあります。
それは胃酸の中和です。
胃酸は食物を溶かすために、強い酸性の液体となっています。
胃や十二指腸は特殊な粘液を分泌して、胃の消化液によって溶かされることがないようにしています。
しかしそれ以降の臓器では、胃や十二指腸のように胃酸から守る粘液を分泌できません。
そこで、膵液や胆汁を利用して十二指腸以降の臓器に被害が出ないようにしています。
そのために、膵液や胆汁で胃酸を中和します。
膵液や胆汁はアルカリ性の液体であるため、胃酸と混ざることで中和されるのです。
膵液や胆汁は消化や吸収の機能を担うと同時に、胃酸を中和する働きもあるということです。
このような膵液や胆汁が分泌する場所は、十二指腸のファーター乳頭という部位です。
ファーター乳頭の位置を図でチェック!
膵液や胆汁が分泌されるファーター乳頭の位置をチェックしてみましょう。
ファーター乳頭は大十二指腸乳頭【だいじゅうにしちょうにゅうとう】とも呼ばれます。
この小さな穴から膵液や胆汁が分泌されるのです。
ちなみに膵液は1日で約1.5ℓもの量が分泌され、消化液の中でも最も多くの消化酵素を含んでいます。
糖質を分解するアミラーゼ、脂質を分解するリパーゼ、蛋白質を分解するトリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチターゼ、エラスターゼなどです。
ファーター乳頭についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ご参照ください。
まとめ
十二指腸の場所を図を用いてお伝えしてきました。
体の中でどこに位置していて、その周りにどのような臓器があるかということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
十二指腸は消化など、体にとって重要な役割を担っている反面、潰瘍などの病気が起こりやすい臓器でもあります。
十二指腸の位置を知っておけば、腹痛が出た時にも十二指腸の近くが痛いのかそうでないのかを知ることができます。
十二指腸潰瘍はストレスもその一因ですが、一番の原因はヘリコバクターピロリへの感染だと言われています。
ヘリコバクターピロリは抗生物質を服薬することで、約8割の確率で駆除できると言われています。
一度病気にかかると、あとあとの治療が大変です。
ですから、予防のために事前に駆除しておくと良いでしょう。
ヘリコバクターピロリに感染しているかどうかは医療機関で検査できますので、一度調べてみてもよいのではないでしょうか。