胃の位置を図でチェック!胃の機能、働きも解説

私たちの体を健康に保つため、いつも働いてくれてるのは内臓です。

食事を飲み込んでも、胃が「今は疲れてるからちょっと休憩してから働きまーす」と休んでいたら、体内で食べ物は腐ってしまいます。

そうならないように、食事が入ってくれば朝だろうが夜中だろうが、まさしく日夜働いてくれているのです。

 

食事した物は、固形物の場合1分くらいかけて食道を通って胃に到達します。

胃に到着した食べ物は、胃酸によって溶かされ小腸で栄養を吸収できるようになります。

これがいわゆる「消化」です。

 

胃にはもう一つ重要な働きがあるのですが、それは「殺菌」です。

食べ物などと一緒に入ってきた細菌やウイルスを強力な酸で、やっつけてくれているのです。

 

つまり、免疫機能も担っているのが胃の働きなのです。

今回はそんな「胃」についてご紹介していきます。

胃は体の中にあって見えない部分ですので、図を使ってその位置をお伝えし、どんな働きをしているかまで解説していきます。

 

胃はどこにある?詳しい位置を図で解説!

いろいろと言葉で説明する前に、まずは図で位置や形を確認しておきましょう。

 

こちらが胃です。(肌色のところです)

胃の位置 解剖図

上の写真では分かりやすいように胃以外の臓器を取っています。

 

他の臓器もつけるとこのような位置関係になります。

胃の位置 内臓図

 

肋骨にやや隠れるようにして、肝臓の隣に胃が位置しています。

このような解剖の図は目にしたことがある方もいるかもしれませんが、実は胃の位置や形は大きく変わります。

胃は空腹時は成人でも50ml程度の容量しかありませんが、食事の後には大きく膨らみ1.2~1.4ℓもの容量になります。

また食事後には胃の重量も食べたぶん重くなるので、位置も下方へズレます。

 

ちなみに胃下垂かどうかを診断するには病院などで画像を撮ってもらう必要があります。

腸骨(骨盤)の左右の上端を結んだ線をヤコビー線と言いますが、このヤコビー線よりも胃角部が下に位置している場合は胃下垂と診断されます。

写真でチェックして見ましょう。

ヤコビー線

胃下垂 位置 ヤコビー線

 

胃角部はこちらです。

胃角部 位置 働き

胃下垂については、特に問題ないという意見もあれば、健康に良くないという意見もあります。

 

私個人の意見としては、胃が下に落ちればさらに下にある腸や、女性であれば子宮などに圧迫が及ぶので何らかの害は及ぼすと考えています。

 

こんな様に位置も形も大きく変える胃ですがその機能は大きく分けて3つあります。

その3つの働きとは胃酸の分泌、運動、知覚です。

詳しく解説していきます。

 

胃の働き・機能について その1 胃液の分泌

お伝えした通り、胃の最も大切な働きの1つが消化です。

消化は胃液である胃酸が分泌されることによって可能となります。

 

では胃液の説明の前に胃の構造についてご紹介しておきます。

胃は何層もの組織が重なり合ってできています。

胃の一番外側は漿膜があり、その内側に伸び縮みする筋層があり、さらに内側に粘膜下層粘膜という構造です。

このように何層も重なっているのは、どんな食べ物でも溶かしてしまう強酸を発生させる唯一の場所だからです。

 

万一、胃酸が胃の外に出るようなことがあれば体自体が溶かされてしまいます。

そうならないために、このように層を重ねた作りをしているのです。

 

粘膜部分の断面図が下の画像です。

胃の場所 粘膜

ヒダがあるところや反対にくぼんだところがあります。そして、くぼんだところからさまざまな分泌液が出されます。

このくぼんだところのことを「胃腺」と言い、胃全体でおおよそ3500個存在していると言われています。

 

胃腺は様々な細胞からできており、分泌するものもそれぞれ違います。

 

ちなみに胃酸を出すのは壁細胞で、タンパク質を分解するペプシンノーゲンを出すのは主細胞、胃壁を守る粘液をだすのは副細胞です。

 

これらは胃の入り口と出口では細胞の配置が違い、当然分泌物も違っています。

胃の中でも入り口と出口ではその役割が変わってくるということです。

 

胃酸は強力な酸で空腹時にはpH1~1.5になります。

この強力な酸で食べ物を溶かし、食べ物についているウイルスや細菌をやっつけてくれます。

 

そんな胃液で胃自体が溶けてしまわないのは粘液がガードしてくれているからです。

ストレスなどによって粘液の分泌が滞ると、胃が溶かされてしまい胃潰瘍になってしまうのです。

 

胃の働き・機能について その2 胃は運動する

上記した通り、胃は多層構造になっています。

その中に筋層がありますが、この筋層によって胃は伸び縮みが可能になっています。

 

胃が伸びたり縮んだり動くことで中の食物はしっかり混ぜられ、消化がスムーズになるのです。

また胃は溶かすだけでなく、その先にある十二指腸に食べ物を送らなければなりません。

 

ちなみに胃で食べ物を溶かしただけでは栄養を吸収することはできません。

胃の次にある十二指腸で、膵液や胆汁と混ぜ合わされることで体内に取り込める状態に消化されていくのです。

 

このように胃が動くことで食べ物はスムーズの消化され、十二指腸に送られていくのです。

 

胃の働き・機能について その3 胃は感受性豊か

ストレスで胃が痛む…なんて方も多いのではないでしょうか。

実は胃は痛みや熱などを敏感に察知する、とても感受性豊かな臓器なのです。

 

ストレスで胃が痛くなる場合、胃潰瘍などの内視鏡で見ればはっきりわかる病変もあれば、内視鏡でチェックしても何ら問題の無いこともあります。

 

後者の様に画像上は問題ないのに胃の痛みや不快感がある場合は、機能性ディスペプシアの可能性があります。

機能性ディスペプシアになると胃の動きが悪くなり、知覚過敏になるため痛みを感じます。

 

なぜ機能性ディスペプシアを発症するのか詳しいメカニズムは分かっていませんが、胃腸は精神面との関連が深い臓器ですので、ストレスを溜めすぎない生活を心がけるのがその1つの解決策として考えられます。

 

胃腸の異常は自律神経の不調とも絡みがあることが多いですので、交感神経、副交感神経のバランスを取るような生活習慣も心がけた方が良いです。

自律神経の調整についてはこちらをご覧下さい。

参照)胃腸の不調を改善!自律神経の整え方

 

まとめ

胃の位置や働きについて図を交えながらお伝えしてきました。

今回は胃についての話でしたが、胃の次には腸があります。

胃でうまく消化できていなければそのツケは腸に回ってきます。

そして、ツケを回された腸が上手く働かないと栄養吸収が滞り、その結果、胃も調子がさらに悪くなってしまうという悪循環に陥ります。

体は1つに繋がっていますので、弱っているところを中心にケアすることはもちろん大切ですが、同時に全体にも目を向けて体をいたわっていきましょう。