「ブリストルスケール」って知ってますか?
これは便の性状をチェックするのにとても有効な方法です。
使い方さえ分かれば子どもでも自分の便の状態を伝えることができます。
最近は子どもの便秘も多いですから、子どものうんちをチェックするのにもこのブリストルスケールを知っていると役立ちますよ。
今回は便の状態をチェックするのに役立つブリストルスケールの使い方と便をチェックすることで得られる効果をお伝えしていきます。
もくじ
現代人の腸内環境は乱れている
腸は全身の健康に大きくかかわりますが、そんな中で現代の日本人に増えているのが大腸癌です。
癌は日本人の死因第1位ですが、癌の死亡者数のうち大腸がんは女性の死因第1位、男性でも3位となっています。
それを裏付けるかのように過敏性腸症候群(IBS)や潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の患者数が増えています。
しかもこれはお年寄りに限ったものではなく、むしろ働き盛りの年代で多くなっているので、若い方も人ごとではありません。
これら腸の状態を悪くさせる原因の一つに、現代人の「油」の摂取方法に問題があります。
油は細胞の膜になったり、ステロイドなどのホルモンの原料としても使用されます。
人はホルモンを使って体に炎症反応を起こしたり、反対に鎮静化させているのです。
現代では炎症を起こしやすくなる「オメガ6系」の油や、もはや「毒」と言っても過言でないマーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸にあふれています。
家にあるお菓子の成分表示をみて下さい。多くのお菓子にマーガリンやショートニングが使われていると思います。
こういった質の悪い油の害についてはこちらをご覧ください。
さらに現代では無理なダイエットをしたり、腸内細菌のエサとなる食物繊維の摂取量が減少していて、腸内環境悪化に拍車をかけています。
中でも心配なのが子どもの腸の異常です。
子どもが便秘に悩んでいるケースは実は結構多いのです。
5000人の子どもの母親を対象とした調査では約半数の子どもが毎日排便がなく、全体の2%は下剤を「常用」しているとのことでした。
老若男女をとわず広がっている腸内環境の悪化ですが、それを改善するためには、まずは現状を知る必要があります。
そんな時に有効な指標が「ブリストルスケール」です。
便の状態をチェック!ブリストルスケールの使い方
ブリストルスケールとは、国際的に共通して使用されている7段階で便性をチェックするスケールです。
ブリストルスケールで便をチェックすることで、自分や子どもの便が理想的な状態なのか、そうでないのかが判定できます。
「便通」は字の通り、身体からの「お便り」なのです。
便の状態が良ければ、それは腸内環境も良好であるというひとつの判断材料になります。
ですからブリストルスケールをつかってまずは便の状態をチャックして下さい。
こちらがブリストルスケールです。(※ダウンロードしてお使いください)
硬い便ほど「1」に近く、水っぽい便ほど「7」に近づきます。
これなら子どもでも「どんなうんちだった?」と聞けば絵を見ながら伝えることができます。
この7段階あるブリストルスケールのうち、理想的な便は「4」です。
よくバナナ状の便というように例えられます。
他に「3」や「5」でも正常と考えてよいですが、なるべく「4」に近づくようにしたいものです。
理想的な便についてはこちらをご覧ください。
ブリストルスケールで「3」~「5」以外に該当する場合は以下のように判断します。
「1」や「2」であれば硬すぎで、便秘と判断されます。
「6」や「7」では軟らかすぎで、下痢と判断されます。
また便は腸内に長くとどまるほど水分が吸収されてカチカチになっていくので、便の性状をみることで食べてからどのくらいで排泄されたかのおおよその目安にもなります。
通常、口から食物を食べて肛門から排泄するまで24~72時間といわれていますが、それより極端に長く100時間ほどになると「1」のコロコロ便になります。
反対に極端に短く10時間ほどだと「7」の水様便になります。
ぜひブリストールスケールを使って、自分の便と見比べチェックしてみて下さい。
便をチェックするとこんなメリットが
便をチェックすると腸内環境の良し悪しが分かるとお伝えしましたが、具体的にどんなメリットがあるのかお伝えしていきます。
便をチェックするメリット その1 腸内細菌の状態が分かる
便をチェックすることで得られる最大のメリットは腸内細菌の状態が分かるということです。
腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類がいますが、善玉菌と悪玉菌は常に戦っており、日和見菌は強い方の味方をします。
善玉菌は字のごとく体に良い働きをもたらす筋ですから、善玉菌が優勢でないといけません。
善玉菌が優勢な状態では便はブリストルスケールで「4」に近いところになります。
注意点として、ブリストルスケールでは、便の量や色、においなどは判定基準にないので、これらも合わせてチェックしておくとより良いです。
便の1回あたりの量はバナナ1~2本分の量が適量です。
便の色は消化液である胆汁の分泌具合や出血の有無などによって変わってきますが、正常な便では茶褐色です。
においについては悪玉菌が繁殖していると硫化化合物、インドール、スカトールなどの影響により臭くなります。しかし、善玉菌が優勢であればあまり強いにおいは発しないです。
腸内細菌はビタミンの生成、免疫力の向上、便秘・下痢の防止、消化吸収の補助、アレルギー抑制作用、うつ病など精神疾患の防止などなど…様々な働きがあります。
便をチェックすることで、これらの働きがスムーズに摂れているかということが分かるのです。
便をチェックするメリット その2 精神・心理状態
排便の働きをコントロールしているのは自律神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経がありますが腸の働きが活発になるのは副交感神経の働きが優位になった時です。
ただし、副交感神経だけ働けばそれでよいかと言うとそういうことはなく、これら2つの神経がバランスよく働くことが快適な排便には大切です。
自律神経は気持ちや精神状態の影響を大きく受けるので、メンタルが安定していないと腸の働きも一定になりません。
つまり、メンタル面の不調が自律神経を介して便の状態を左右するということです。
当然メンタルが安定していれば便の状態は良くなりやすいので、ブリストルスケール「4」に近い便が出ます。
便の状態をチェックすることで、知らず知らずにたまっているストレスにも気付けるかもしれません。
便をチェックするメリット その3 腸やその他の臓器の状態が分かる
便には色がついていて正常では茶褐色ですが、白い便はは胆汁の分泌が悪いことによっておこります。その場合、肝臓や胆のうに炎症や癌、石のある可能性があります。
他にもバリウム検査の翌日に便が白くなったりします。ただし、乳幼児ではロタウイルス感染症の可能性もあり注意が必要です。
緑色の便はなんらかの原因で腸内細菌の働きが悪いときに、胆汁の酸化が起きずにもとの色のまま分泌された場合です。子どもでは意外と多いです。大人の場合、抗生物質により善玉菌が少なくなり緑色になることがあります。
黒い便はタール便と呼ばれ、消化管の出血が疑われます。
他に鉄分などの錠剤の過剰摂取や便秘もひどくなるとでも黒くになります。
赤い鮮血便は肛門付近で出血が起こっているサインです。
このように腸だけでなくその他の消化器の状態や出血の有無も便をチェックすることで分かるのです。
まとめ
ブリストルスケールとはどのようなものか、どうやって使うのかをお伝えしてきました。
便通は体からの「お便り」ですので、しっかり受け取ってあげて下さい。
人は基本的に「しっかり食べて、しっかり寝て、しっかり出す」ことができていれば健康になれます。
反対に不調を抱えている人は、この3つのどれかがもしくは全てが上手くいっていないです。
まずはしっかり出せているかブリストルスケールでチェックしてみて下さい。