「リンパの流れを良くする」
「むくみを解消する」
リンパというと、このようなキーワードが思い浮かぶのではないでしょうか。
リンパという言葉が有名になったのは、美容関連のキーワードとして使われることが多くなってからです。
美容業界で使われるリンパという言葉は、リンパ腺の中を流れるリンパ液のことを指していることが多いようです。
リンパ液はリンパ管の中を流れています。これは、ちょうど血液と血管の関係に似ています。
ただし、リンパ管には心臓のように強力なポンプ器官はありません。
そのためリンパ液は、リンパ管にある平滑筋【へいかつきん】や筋肉の動き、呼吸に伴う胸腔内圧の変化を利用して循環しています。
そのリンパ管の途中にある節【ふし】のようになっているところを、リンパ腺(リンパ節)と呼びます。
医学的には、これらのリンパ腺やリンパ液などをまとめて、リンパ系と呼びます。
リンパ系の働きは大きく分けると3つあります。
「免疫機能」「不要な体液や老廃物の回収」「吸収された脂肪の通り道」です。
リンパ系の働きは、人が健康に生活するために欠かせません。
今回はリンパ腺がどこに位置しているのか図を用いて解説し、どのような働きがあるのかということもお伝えしていきます。
もくじ
リンパ腺・リンパ節はどこにある?場所を図で確認!
まずは言葉の確認からですが、リンパ腺とリンパ節と同じ意味です。
では、リンパ管、リンパ腺・節の場所を図で確認しておきましょう。
上図では、リンパ腺を緑色で現わしています。
ところどころ「節」ができているのがお分かりになると思います。
これがリンパ節です。
リンパ節は首、脇の下、鼠けい部、膝の裏に多く分布しています。
左わき腹のあたりにある赤紫色の塊は脾臓【ひぞう】です。
このようにリンパ管は全身に分布しています。
全身に張り巡らされているのがリンパ管で、その途中で節のようになっているのがリンパ腺です。
リンパ腺が見えやすいように、首のあたりのリンパ腺を拡大して確認してみましょう。
ところどころ膨らんだ部分があるのが分かるでしょうか。
リンパ腺(リンパ節)は、胸腺【きょうせん】、脾臓【ひぞう】と合わせて、リンパ器官を構成します。
リンパ腺は直径1〜25㎜で、ソラマメのような形で中央部にくぼみがあります。
このくぼみのところから血管やリンパ管が出入りします。
リンパ腺にはフィルターのような機能があります。
リンパ液をろ過して不要なものを取り除き、病原菌の侵入を防いでいます。
首や脇の下、鼠径部(脚の付け根のあたり)には大きなリンパ節があります。
それぞれの位置を図で確認してみましょう。
首(頚リンパ腺)、脇の下(腋下リンパ腺)
鼠径部(鼠径リンパ腺)
上記以外の部位にも主要なリンパ腺があるので、ご紹介しておきます。
膝窩リンパ腺(膝の裏)
胸部リンパ腺
腹部リンパ腺
これらの部位は、怪我などによって病原菌が侵入しやすい場所であるため、大きなリンパ節を置くことで病原菌を除去し、健康な体を維持できるようにしているのです。
リンパ腺が痛い?首の腫れや痛みはリンパの影響かも
病原菌に感染すると、リンパ腺は腫れることがあります。
これは病原菌を除去するための反応で、腫れに伴って痛みを生じることもあります。
上記した通り、顎の下など首にも大きなリンパ節があるため病原菌に感染することで、首に腫れや痛みが生じることもあります。
では、なぜ感染が起こるとリンパ腺が腫れるのでしょうか。
それは感染に反応して、リンパ腺の中にあるリンパ球やマクロファージ(病原菌を食べる細胞)が増えるためです。
病原菌を上手く除去できれば、リンパ節の腫れはしばらくすると落ち着きます。
しかし、リンパ腺の腫れが慢性化するとリンパ節腫症と呼ばれる状態に発展します。
これはウイルスや細菌、寄生虫などがへの感染、もしくは癌細胞によって引き起こされます。
これらの病原菌は体内で増殖する性質があります。
ですから、いつまでも病原菌が除去されずリンパ腺が慢性的に腫れてしまうのです。
リンパ球って何?リンパの働きについて
リンパ球は免疫機能を担う、リンパ系において重要な役割を果たす細胞です。
リンパ球は体内に侵入してくる有害物質を除去したり、無害化する働きがあります。
具体的には、
・細菌やウイルスなどの微生物
・癌などの異常を起こした細胞
・毒素
などに反応します。
リンパ球には3つの種類があります。
T細胞
B細胞
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)
これら3つの細胞がそれぞれの役割を果たし、免疫機能を発揮します。
ちなみにこれらリンパ球が作り出されるのは、骨髄と胸腺です。
リンパの病気にはどんなものがある?
リンパの病気としては、代表的なものに悪性リンパ腫があります。
悪性リンパ腫は血液の悪性腫瘍の1つです。
リンパ球が癌化し、リンパ腺やリンパ管が癌に侵される病気です。
ですからリンパ管があるところには、どこにでも癌が及ぶ可能性があります。
治療には放射線療法や化学療法が用いられます。
癌の治療ではよく言われることですが、早期発見、早期治療が重要です。
病気でなくともむくみが出ることもある
リンパ液の流れが悪くなっていると「むくみ」が出ることがあります。
上記の通り、病気によってむくむこともありますが、健康な人でも一時的にむくむことはあります。
例えば、一日中立ち仕事をしている人は、夕方には足がむくんで太くなっているという方も多いでしょう。
これは病的なものではなく、重力によってリンパ液が足にたまりやすくなったために起こっているのです。
むくみに悩んでいる方は、足を高くして寝たり、ふくらはぎのマッサージで改善することもあります。
まとめ
リンパ腺の場所を図で解説し、その働きなどについてもお伝えしてきました。
リンパ腺は免疫機能など、人の健康を維持するために欠かせない機能を持っています。
身体中に分布しているリンパ管ですが、その節となるリンパ腺は病原菌などへの感染によって腫れや痛みが生じることがあります。
上記した主要なリンパ腺のあるところに腫れが生じている時は、リンパ腺が原因となっているかもしれません。
腫れがひどい時や慢性化している時には、一度病院で検査を受けてみた方が良いです。