「お腹が張ってしんどい」
「お腹が張って苦しいけど、どうしたらいいかわからない」
この記事をご覧の方は、こんなお悩みを抱えているのではないでしょうか。
お腹の張りは、それだけでストレスとなります。
腸脳相関【ちょうのうそうかん】という言葉をご存じでしょうか。
腸と脳は、密接な関わりがあります。
腸は体の中で栄養を吸収できる唯一の器官であり、腸の異常は体全体の危機に関わることです。
ですから、お腹が張るなど腸の不調があると、強いストレスとして脳が感じるのです。
ちなみに、お腹が張ることを、専門的には腹部膨満感【ふくぶぼうまんかん】と言います。
腹部膨満感が引き起こされる原因は、
ガスがたまることによるものが多いですが、なかには、病気の症状として出ていることもあるので、注意が必要です。
そこで今回は、お腹が張って痛いときに原因として考えられることと、その解消法についてお伝えしていきたいと思います。
もくじ
お腹が張って痛くなる原因はガス?
お腹の張りは、ガスがたまって引き起こされることが多いです。
お腹にたまったガスは、おならとして排出されます。
このとき出るおならの量は、1回あたりどのくらいかご存じでしょうか。
1回あたりのおならの量は、50ml〜500mlと言われています。
50mlと500mlでは、10倍もの差があります。
普段のことを考えるとわかりますが、思いっきり出るときと、ちょっとしか出ないときがあるので、このくらいの差が出るのでしょう。
これが1日あたり、7回〜20回程度出るとされています。
1日トータルでは、500ml〜2000mlが平均的な量です。
数字で聞いても、あまりピンとこないかもしれませんね。
ここでは、腸内で発生するガスやおならの量には、個人差がとても大きいということを知っておいてください。
ところで、腸内にたまるガスはどこから来るかご存じですか。
実は、腸内にたまっているガスの、65〜70%は口から飲み込んだ空気でできています。
飲み物を飲むときや、食べ物を食べるとき、ツバを飲み込むときに、わずかに空気が含まれています。
1回飲み込むだけでは、大した量ではありませんが、食事のときなど、何度も飲み込むことによって腸内のガスの元になります。
チリも積もれば山となるで、どんどんたまっていくのです。
残りの30〜35%は、消化管の中で消化、吸収が行われる過程の中で発生したり、大腸に生息する腸内細菌が活動することで発生しています。
こうしてガスが腸内にたまると、腸は圧迫を受けるようになります。
腸だけでなく、その周囲の臓器や組織も圧迫を受けます。
すると、お腹の張りとして感じるようになります。
これがひどくなると、痛みになります。
お腹が張って痛くなる病気にはどんなものがある?
冒頭でもお伝えした通り、お腹が張ることを専門的には、腹部膨満感【ふくぶぼうまんかん】と言います。
腹部膨満感を引き起こす病気には、胃や腸などの消化管の病気や、その周囲にある内臓の異常によって、引き起こされるものなどがあります。
腹部膨満感にともなって、出てくる症状が重要なサインとなっていることもあります。
病院を受診するのであれば、お腹の張り以外にどのような症状があるのかということも、医師に伝えましょう。
ここでは、腹部膨満感が発生する病気について、代表的なものをいくつか紹介していきます。
胃かい瘍・十二指腸かい瘍
胃や十二指腸の組織が欠損する病気が、胃かい瘍、十二指腸かい瘍です。
腹部膨満感以外の症状として、吐き気、嘔吐、食欲不振などがあります。
ひどくなると、血液の混じった嘔吐をしたり、血便が出たりします。
ピロリ菌への感染やNSAIDSという痛み止めの内服が、原因となることが多いです。
胃かい瘍と、十二指腸かい瘍では、症状の出るタイミングに違いがあります。
胃かい瘍では食直後に、十二指腸かい瘍では、空腹時や夜間に痛みが出ることが多いです。
痛む場所はどちらも、みぞおち周辺です。
もし、胃かい瘍や十二指腸かい瘍になったときには、病院での治療が必要です。
大腸ガン
大腸ガンは、食の欧米化や運動不足の生活習慣を送る人が増えるにしたがって、日本人に増えてきたガンです。
大腸ガンは大腸のどの部位にも発生する可能性がありますが、多く発生するのはS状結腸や直腸です。
大腸は、部位別に以下のような名前が付いています。
大腸ガンになると、腹部膨満感のほかに便秘、下痢、血便などの症状が表れやすくなります。
結腸は上行結腸に比べて、下行結腸は細くなっています。
そのため、下行結腸でガンを発症すると、腹部膨満感や便秘などの症状も出てきやすいです。
大腸ガンは初期症状に乏しいことが多く、症状が出てきたときにはすでに進行してるケースも多いです。
定期的な検査で、確認するようにしましょう。
腸閉塞
腸閉塞は、別名イレウスとも言います。
腸閉塞をわかりやすく説明すると、腸の内容物の通過障害、ということができます。
原因の1つは、腸の中が物理的につまってしまうことです。
これを閉塞性イレウスといいます。
もう1つの原因としては、腸への血流障害や神経障害が発生することで、腸が機能しなくなることによるものです。
これを麻痺性イレウスといいます。
腸閉塞になったときに出現する症状としては、
腹部膨満感のほかに、お腹の痛みや、おならや便が出なくなるといったことがあります。
腸の内容物が動かなくなることによって、このような症状が現れます。
腸閉塞は、命に関わる病気であり、病院での治療が必要です。
卵巣腫瘍 子宮筋腫
卵巣は通常、左右一対で存在しますが、ここに腫瘍ができるのが、卵巣腫瘍です。
卵巣腫瘍では、腹部膨満感のほかに、下腹部の痛みや頻尿などの症状が出現しやすいです。
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできるコブのようなものです。
子宮筋腫の症状は腹部膨満感、卵巣腫瘍と同様に、膀胱が圧迫されるので頻尿になりやすいです。
筋腫のできているところを押さえると、しこりを触れられることもあります。
肝臓腫大
急性肝炎や肝膿瘍、心不全などの肝臓が肥大する病気になると、肝臓を覆っている膜が引っ張られます。
すると、腹部膨満感や、ひどくなると痛みとして感じられることもあります。
肝臓腫大を起こす原因となっている病気によって、出てくる症状は異なります。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、症状が出て来たときには、すでに病気が進行しているケースもあります。
健康診断を受けるなどして、異常がないか定期的に観察しましょう。
数値の変化があった場合は、放っておかずに病院を受診しましょう。
お腹が張って苦しい ガスを抜くにはどうしたらいい?
お腹が張って苦しいのが、病気によるものかどうかは、病院で検査を受けてみないとわかりません。
しかし、病的なものではなく、ガスがたまりやすくなっていることが原因だとすれば、自分でできる対処法があります。
ここでは、ガスをたまりにくくするための方法について解説していきます。
食事のとき、よく噛んで食べる
お腹のガスは、65〜70%が飲み込んだ空気からできているということは、お伝えした通りです。
ということは、ガスがたまりにくくするためには、まずは空気を飲み込まないということが重要になります。
そのために大切なのは、食事のときに、よく噛んで食べるということです。
よく噛まずに食べ物を飲み込んでいると、食べ物どうしのスキマに空気が入り込みやすいのです。
食べ物をしっかりと噛んで、スキマをなくすことで、自然と飲み込む空気も少なくなります。
目安としては、1口あたり30回は噛むように意識しましょう。
食べ物をよく噛むことで、消化管の負担をやわらげる効果もあるので、一石二鳥です。
普段、よく噛まずに飲み込んでいる人は、慣れるまで大変ですが、繰り返し行ってよく噛むのがクセになるようにしましょう。
適度な運動で腸が活動しやすい状態にする
運動量が少ないと、腸への刺激が不足し、腸が活動しにくい状態となってしまいます。
腸が活動しないことには、ガスも移動しにくくなってしまうので、適度な運動は重要です。
では、どのような運動が適しているかというと、大またウォーキングです。
大またウォーキングとは、歩幅を大きくして歩くことです。
歩幅を大きくして歩くことで、腸腰筋という筋肉が強く働きます。
腸腰筋の前には、腸が位置しているため、この筋肉を使うことによって、腸に刺激が伝わりやすいのです。
ウォーキングの時間をとれれば一番良いですが、時間的になかなか難しい人も多いでしょう。
そんなときは、日常の中で、意識して大またで歩くようにしてみてください。
ちょっと歩くときにも、なるべく歩幅を大きくとって歩くようにするのです。
日常の中で行えるので、無理なく続けられます。
泡の出る飲み物はなるべく避ける
泡の出る飲み物と言えば、サイダーなどの炭酸飲料や、ビールなどです。
これらの飲み物を発泡飲料と呼びます。
発泡飲料に含まれる泡の正体は、空気です。
ですから、発泡飲料を多く飲みすぎると、体内に空気がたまり、ガスになりやすいです。
たまに飲むのはかまいませんが、日常的に飲んでいると、やはりガスがたまる原因となりやすいので、なるべく避けましょう。
まとめ
お腹が張って痛い原因について、解説してきました。
お腹にたまったガスが、その原因になっている場合もありますが、病気の症状としてお腹が張っている場合もあります。
自己判断は危険なので、気になる症状があるときには、まず病院にかかるようにしましょう。
その上で、病的なものでなく、ガスが少したまりやすいことが原因とわかれば、上記のご紹介したガスをたまりにくくする方法を試してみてください。